第155章 筋が通っている

朝比奈初は彼女が教師であることを尊重していたからこそ、最初から問題点を指摘しなかったのだ。彼女はこの件について、双方に過失があると感じていた。

彼女が先ほど言った言葉は、職員室にいる全ての教師が聞いていた。中には朝比奈初の言い分にもっともらしさを感じる人もいた。

場が少し静まり返ったのを見て、初は担任教師にさらに言葉を続けた。「もし最初は長谷川千怜が普段から学習に対して真面目でない態度から、彼女が嘘をついて宿題を提出していないと思われたのなら、その推測は完全に理にかなっています。」

「でも後で千怜から聞いたところでは、彼女は同じ席の子に証言してもらおうとしたそうです。たとえあなたの学級委員が覚えていないと言ったとしても、宿題が学級委員の手に渡ったという事実は変わらないのではないでしょうか?」

初は千怜がこのような状況で怒るのも無理はないと思っていた。

昨晩、初が全経緯を聞いた後、千怜の同席者から直接確認したところ、千怜の宿題は確かに提出されていたと確信した。そのため、最初に嘘をついていると誤解されたことに対して、通常の状況下で千怜が怒るのは当然だと思った。

その後、千怜には証言してくれる人がいたにもかかわらず、学級委員の「忘れた」という一言が再び千怜の感情を爆発させ、結果として彼女と教師が教室で大喧嘩する事態になったのだ。

初は当時、教師に冷静な判断力が残っていたかどうかわからなかった。もちろん、千怜に怒らされた後に再提出の話を持ち出し、千怜がそれを受け入れなかったため、教師が怒って彼女を教室の外に立たせ、保護者を学校に呼び出すことになったという可能性もある。

初の理性的な分析を聞いて、黙っていた人も、黙るべきでない人も、皆口を閉ざした。

初は先ほどの要点を再度強調した。「再提出の件は一旦置いておいて、元々の宿題が提出された後に行方不明になったことについて、責任は誰にあるのでしょうか?」

「そう、誰の責任なの?」千怜は初の言葉から自信を取り戻した。「あなたは学級委員に真剣に探させましたか?私が嘘をついて書いていないと疑うばかりで、学級委員が私の宿題を隠したんじゃないかとは疑わないの?」

「……」教師はこの姑と嫁に少し困惑させられ、何と言っていいかわからなかった。