第154章 誰の責任か

会話ボックスにはたった二文字しかなかったのに、長谷川千怜の心には不思議な波が広がっていた。

朝比奈初からのメッセージを見て、彼女の眉間のしわが伸び、心の奥底に隠れていた不安や悔しさもそれほど強くなくなった。

「萌、私の白雪姫が来たわ。迎えに行ってくるね」千怜は口元を少し上げ、これからどんな結果になるかなど全く気にしていなかった。

隣の席の子は千怜が立ち上がって席を離れようとするのを見て、親切に忠告した。「ノートが見つからないなら、大人しく先生に新しいのを提出したら?もう無駄な喧嘩はやめなよ」

「気分次第かな」千怜はスマホをポケットに入れ、両手をポケットに突っ込んで、何気なく教室を出て行った。

千怜は職員室に着くと、窓際の目立つ位置に立った。同じ学年の先生たちは彼女を見ると好奇心を持って見てきた。今回は何をやらかしたのかと見たいようだった。

彼らのクラスの先生は他の教師たちの前で千怜のことをよく話題にしていた。この職員室では誰もが彼らのクラスの問題を知っていた。真面目ではない女子生徒がいて、よく休みを取り、許可が下りないと授業をサボるという。

最近、千怜の状況が良くなったと言われていたが、それもたった2週間も持たず、先生と口論したという噂だった。

英語の先生は彼らのクラスの授業を終えたばかりで、手を洗って戻ってきて椅子に座り、厳しい表情で千怜を見た。「課題を提出するように言ったでしょう?今日もまだ出していないの?」

千怜は冷静に答えた。「行方不明の人に家に帰って食事をしろって言えますか?」

先生の顔に怒りの色が浮かんだ。彼女は手で眼鏡を直し、冷たい声で言った。「ノートを行方不明の人と比べて何になるの?同じはずがないでしょう?」

千怜がだらしなく立ち、両手を制服のポケットに入れているのを見て、先生はさらに腹を立てた。眉間にしわを寄せて言った。「ちゃんと立ちなさい。手をポケットから出して」

千怜は表情を変えずに手を出し、姿勢を少し直した。

彼女が少し生徒らしくなったのを見て、先生の表情も少し和らいだ。「保護者を呼ぶように言ったけど、呼んだの?」

彼らのクラスの担任は英語の先生だった。隣のクラスの先生が産休を取っていたため、今学期は仕事が多く、3つのクラスの英語を教えていて、忙しい時にはクラス管理がおろそかになることもあった。