朝比奈初がマイクロブログを投稿した日以来、彼女はスマホを見ていなかった。今日、長谷川千怜がこの件について言及しなければ、初はいいねの件に裏工作があったことさえ知らなかっただろう。
「お母さん、どうしてそんな無駄なお金を使ったの?」
元々、いいねの件は初の目には多かれ少なかれ損ではなかったが、それらのデータが小林由美子がお金をかけて作り出したものだと知った時、彼女の気持ちは一気に落ち込んだ。
由美子は最初、自分が善意から悪事を働き、無駄なお金を使ったと思っていたが、今はそうは考えていない:
「どうして無駄なお金だなんて言えるの?私が使った一銭一銭は無駄じゃないわ。それは全て私たちの家のものよ。たまには抽選イベントで宣伝して、製品の露出を高め、より多くの消費者を引き付けるのもいいことでしょう。」
製品の公式マイクロブログはこの抽選イベントを通じてフォロワーが急増し、初の話題性を借りて何度もトレンド入りした。これも製品プロモーションの一種の手段だった。
由美子は手を振り、軽く言った:「あのくらいのお金なら...半年の銀行利息でだいたい戻ってくるわ。」
「……」初は完全に黙り込んだ。
千怜は思わず嘆息した:「私はこの人生で良い家に生まれたと思っていたのに、まさか私にはケチな母親がいるなんて。お兄ちゃんよりもケチよ。」
長谷川彰啓は以前、毎月彼女に生活費を支払っていたが、彼女は本当に一銭も由美子に要求したことがなく、由美子も自ら与えると言ったことはなかった。
「言ってごらん、私がいつあなたをお腹を空かせたことがあるの?なのにケチだなんて?」由美子は人差し指で千怜の額をつついて言った:「この生意気な子、よく覚えておきなさい。家にお金があるからといって、あなたが手を伸ばせば服が来て、口を開けば食べ物が来るという理由にはならないのよ。」
由美子がこのような言葉を言えるのを聞いて、初は確かに少し感心した。
一見甘やかされて育ったように見える義母に、このような一面があるとは予想していなかった。
だからこそ千怜はこのような家庭環境で育ち、毎月の生活費はたった二千元だったのだ...これで初も全て理解できた。