小林由美子のこの反応を見て、長谷川一樹は容赦なく本音を暴露した。「お母さん、下手くそなくせに好きなことばかりするんだね。人前に出るのが嫌なら、なぜ人の頼みを引き受けたの?もともと家で撮影するつもりなんてなかったのに」
彼は母親が家に他人が来ることを好まないことを知っていた。それなのに、番組スタッフから招待された時に同意してしまったのだ。
こんな結果になるとわかっていたら、あの日帰宅した時点で由美子と相談すべきだった。
「でも、みんなが同意してるのに、私だけ違う選択をしたら、変じゃない?」彼女は主体性がなく、よく業界の姉妹たちと群れて行動し、基本的に噂に流されやすい人だった。
朝比奈初は言った。「お母さん、自分の考えがあるなら、簡単に他人に左右されないで。それに、これは別に変なことじゃないわ。あのアンケートは番組側が出したものだから、一部の人が拒否した場合の代替案も考慮してるはずよ。結局のところ、どちらを選んでも番組の撮影進行には支障がないわ」
「他人のせいにはできないわ。実は私も参加したいと思ってたの」由美子は当時、決断できずにいた時、ちょうど藍川恵が側にいて選択をしたのを見て、心が動いたのだった。
しかし今、由美子が考えているのは前回投げかけた問題だった。ちょうど初たちがいるので、彼女は質問を投げかけた。「ここで撮影するのはあまり適切じゃないかもしれないわ。別の場所に引っ越した方がいいんじゃない?」
長谷川千怜はそれを聞いて、好奇心を持って見つめた。「どこが適切じゃないの?うちは散らかってないでしょ」
由美子は小声で言った。「散らかってるわけじゃなくて…ただ派手すぎる気がして」
「お母さん、普段は控えめじゃないのに、今日はそんなこと言うなんて…」千怜は彼女を上から下まで見て、軽く頭を振りながら、唇の端に皮肉な笑みを浮かべ、嫌悪感を露わにした。
「それは同じじゃないでしょ?普段周りにいるのがどんな人たちか考えてみなさい。少し安い服を着ただけで、みんな家が没落したと思うのよ。それが十人に伝わり百人に伝わって、一ヶ月もしないうちに、マーケティングアカウントがどこかの会社が破産したとデマを流すわよ」