第262章 誤解

「……初回放送後、オンラインで視聴者との交流時間を30分ほど設けようと思いますが、皆さんそれでよろしいでしょうか?」

後から参加した佐伯莉子と張本詩織にとって、この放送日程の話は自分たちには関係ないことだったので、監督がこの件について話している間、二人は傍観者のようだった。

他の出演者たちの反応もどこか適当で、この件にあまり興味がないようだった。

全員が揃って頷き、答えた。「大丈夫です」

「では、当日はこの流れで進めましょう」監督は初回放送日の収録の流れを出演者たちに明確に説明し、同時にライブ配信を視聴している視聴者たちにも知らせた。

【えっ?この番組もう放送されるの?!さすが黒田監督だね、この速さは流石〜みんなあまり期待してなさそうな感じだね、むしろ仕事として無理やりやってる感じがするwww】

【もう放送日決まったの?公式発表あった?私もうライブ配信に住み着いちゃった、他のアプリ開くのも面倒で……】

【わーい!毎日ライブ見てるけど、編集後の仕上がりも楽しみだよねwww】

監督は話し終えると自ら舞台裏に下がり、カメラを現場の出演者たちに任せた。

今日の昼食は、皆が完食していた。

他の人はほとんど箸を置いていたが、篠田佳織だけがまだ食べ続けていた。

朝比奈初はトマトと白菜の煮物を作ったが、おそらく野菜料理が多すぎたせいで、食事の間、皆はこの料理にあまり手をつけず、ほとんどが初と佳織が食べていた。

この料理は酸味と甘みがあり、とても食欲をそそった。

佳織はトマトが好きで、この料理が自分の口に合うと感じたため、残りの白菜は全て彼女が片付けた。

皆が食卓を片付けて食器を洗いに行こうとしたとき、佳織がまだ茶碗を持っているのを見て、長谷川一樹は少し好奇心を持って彼女を見た。「佳織さん、まだ足りないんですか?」

「いいえ、お腹いっぱいよ。お皿にまだ少し残ってたから、食べきってるの」

一樹:「あぁ」

佳織:「この野菜たち、結構高いのよ。食べ残すのはもったいないわ」

「……」

初はちょうど彼女の隣で片付けていて、前に食材を探しに行った時、佳織がトマトは安いと言っていたのに、今は高いと言っていることを思い出した。