朝比奈初はざっと目を通すと、ココナッツ蒸しパン、お餅、牛肉団子、海老蒸し餃子などがあることに気づいた。
おそらく小林由美子は彼女が温かいものを食べられないことを心配して、常温のものと温めが必要なお菓子をほぼ半々に用意していたのだろう。
この細かい配慮に気づいた朝比奈初は、本当に心を打たれた。
長谷川一樹は目を伏せて初の手にある食事箱を見て、付け加えた。「冷めたものは食べないでね。」
初は手にある食事箱を見つめながら少し上の空になり、無意識に「うん」と彼に返事した。
その時、カメラマンは一樹の背中がレンズを遮っていることに気づき、すぐに角度を変えて撮影し、さらに初のアップショットまで撮った。
生配信を見ている視聴者たちは初の腕の中の袋が全て食べ物だと気づき、完全に羨ましがった。
【うわぁ!これが朝比奈さんの朝食?豪華すぎる、全部私の好物だわ!!】
【今画面の前にいる私の表情は朝比奈さんとそっくり、呆然としてる】
【箱が多いね、少なくとも10種類はあるでしょ、朝比奈さん一人で食べきれるの?】
【私の記憶が正しければ、この袋さっき長谷川さんが持ってきたよね、もしかしてこの朝食は長谷川さんが用意したの?】
【何があったの?くしゃみしてる間に何か見逃した気がする……】
一樹はカメラマンが近づいてくるのに気づき、眉をひそめた。
しかし、この時他のスタッフはまだ他の機器をテストしており、まだ正式にタスクを始める段階ではなかったため、監督も彼らが何をしているかを気にしていなかった。
一樹は番組スタッフが当面は荷物を回収する意図がないことに気づき、少しリラックスした。
「早く食べなさい、あとでタスクが始まったら食べる時間がなくなるよ。」一樹はそう言うと、自ら進んでスタッフに椅子を頼み、座って休み、監督がプロセスを発表するのを静かに待った。
初は箸を取る前に、携帯を取り出して小林由美子に電話をかけ、直接お礼を言いたかった。
電話をかけてすぐに、応答があった。
一樹が家を出た後、由美子は部屋に戻って二度寝をしていたようで、今ちょうど目覚めたところらしく、声には少し眠気が残っていた。「初ちゃん……一樹に会えた?食べ物を持たせたんだけど。」