第256章 他人の弟

見慣れない複雑なキャンプ用品に直面し、出演者たちは皆、どこから手をつければいいのか分からない様子だった。

「これ、どうやって組み立てるの?」佐伯莉子は支柱を手に持ち、隣にいるスタッフの方を振り向いて、番組側の助けを求めようとした。

スタッフはそれを聞いて、彼女に向かって首を横に振った。

莉子はそのスタッフを見て、眉を少し寄せて疑問の表情を浮かべた。「さっきあなた組み立ててなかった?」

スタッフ:「これは皆さん自身で完成させる必要があります。」

助けを得られず、莉子は空気の抜けた風船のように肩を落とし、嘆いた。「わかったわ。」

監督は皆の作業の進み具合がもたついているのを見て、我慢できずに出てきて注意した。「皆さん、動きをもう少し早くしてください。この後、食材を探して料理もしないといけませんから。」

篠田佳子:「え?じゃあ、これからのお昼ごはんの食材は私たちが準備するんですか?」

監督:「はい、これからの数日間、番組側は一切食材を提供しません。皆さん自給自足でお願いします。」

朝比奈初は眉を軽く寄せて、重要な質問をした。「私たちの資金はまだ増える機会はありますか?」

「あります。皆さんにタスクやアクティビティをしていただき、順位の高低に応じて相応の報酬を得ることができます。」

一同:「……」

【あはははは、朝比奈さんはさっき食べ終わってよかった、じゃないと本当にお腹が空いちゃうところだった】

【これはちょっと厳しすぎるね、設備のレンタルだけでもかなりのお金を使ったのに、今度は食材まで自分たちでお金を出して買わないといけないなんてwww】

【朝比奈さんの心の声:大丈夫、私はもう食べたし、残りはあと一食分くらいある。今日は飢えることはないはず】

【でも私はキャンプって自給自足であるべきだと思うよ。そうしてこそ面白いじゃない】

監督の言葉が他の出演者たちにプレッシャーを与えたのか、急に場の雰囲気が「アヒルを水に追い込む」ような感じになり、皆がテントの組み立て方を研究し始めた。

両チームとも同じように2つのテントをレンタルしており、それぞれ男性用と女性用だった。

大きなテントはフレームが多く、組み立てるのが複雑で、少し注意を怠ると問題が生じる可能性があった。