第54章 私の名前を呼んで、翔

一日の撮影が終わり、田中純希は女子学生たちと共に校内の美しい景色をバックに素敵な写真を残した。最後の一枚が完成すると、彼女は軽くため息をついてカメラをしまった。「やっと完成しました！できるだけ早く写真を編集してお送りしますね。きっと気に入ってもらえると思います」

女子学生たちはほっとした様子だった。彼女たちはすでに2、3回メイク直しをし、顔は笑いすぎてこわばりそうになっていたが、満足のいく写真セットを得るためには頑張るしかなかった。ようやく撮影が終わり、彼女たちも嬉しそうだった。

「純希姉さんからの良い知らせを待ってます！」

これらの女子学生から「お姉さん」と呼ばれることに、純希はどこか違和感を覚えていた。彼女は笑いながら言った。「私も自分の作品が楽しみです」

女子学生たちは純希に夕食に誘った。「私たちの食堂では特別注文もできるんですよ。純希姉さん、一緒に食事しませんか」彼女たちの視線は、しきりに隣にいる山崎翔に向けられていた。

翔は急いで純希に目配せし、彼女に近づいて重そうなバッグを手に取った。「母が家で夕食を待ってるから、帰ろう」もし智が彼を引き止めていなければ、とっくに帰っていただろう。

女子学生たちは羨ましそうに言った。「純希姉さんはもう家族に会ったんですね？素敵！もうすぐお金持ちの若奥様になるんですね！」

純希の笑顔は崩れそうになった。純希だけでなく、松本智も従兄の言葉に驚いていた。従兄はやりすぎだ！

純希の頭がようやく回り始めた。芝居をするつもりなら、最後までつき合ってやろう。

彼女は作り笑いで言った。「彼は私に優しいですね。毎日プロポーズしてくるんですよ。でも、まだ彼と結婚するかどうか決めかねています」

翔のハンサムな顔は一瞬で真っ黒になった。この女、自信過剰すぎるんじゃないか？

それなのに純希は非常に誠実そうに笑っていた。

女子学生たちはさらに羨ましがり、純希を自分たちのアイドルのように扱った。「純希姉さんは本当に理性的で度量が大きいですね。私たちの良いお手本です！」

純希は手を振って言った。「まあまあですよ！」

翔は彼女に最優秀女優賞を授与したいくらいだった。彼は純希の肩を抱き、「家で夕食」を急かした。