第157章 付き合おう

木下智樹の視線は山田雪の心に罪悪感を抱かせたが、彼に偽りの希望を与えて、再び失望させるなら、彼女はもっと罪悪感を感じるだろう。

彼女は言った。「智樹、私、彼と話してくるわ」

智樹の目は徐々に暗くなっていった。彼はしばらくしてから道を譲り、「わかった、待ってるよ」と言った。

中島陽太は心の中で危機感を強めた。智樹は彼女に何でも従うのに比べ、自分には何の優位性もないように思えた。

雪と陽太は小道を歩いていた。彼女が前を歩き、彼が後ろについていた。

陽太は何度か彼女の手を握ろうとしたが、手を伸ばしては引っ込めた。突然、雪が振り返った。

彼の手は空中で少し気まずい状態だった。

雪は尋ねた。「結局、何を言いたいの？」

陽太はついに言った。「雪、君と智樹が一緒にいるのを見たくないんだ」

「それで？」

「付き合おう」

雪の目には期待が満ちていた。「じゃあ、付き合った後は？」

陽太は急に自信がなくなった。彼は目を逸らし、「将来のことは、その時考えよう」と言った。

雪は笑った。「あなたは私たちの将来を考えてないのね。だから私と遊びたいだけなの？」

「もちろん違う」陽太は真剣に言った。「君に対しては本気だよ。でも将来のことは誰にもわからないだろう？」彼が最も恐れているのは、他人に約束をすることだった。

「わかったわ」雪は身を翻して戻り始めた。「あなたとは付き合えない」

陽太は彼女を引き止めた。「雪、もっと理性的に考えよう。付き合うところから始めるのは悪くないだろう？最初から明確な約束を求めるのは無理だよ。それに、あの夜関係を持ったのも、僕も少し混乱していて……」

雪は彼の手を振り払った。陽太の言葉は彼女の痛いところを突き、恥ずかしさと屈辱を感じさせた。

そう、あの夜は彼女から積極的だった。彼に何かを約束させる立場なんてもうないじゃないか。

彼女は言った。「あなたに責任を取れとは言ってないわ。私を探さなくてもいい、恨まないから」

陽太は両手を彼女の肩に置き、彼女に自分を見るよう促した。「つまり、僕たちはきっぱり別れるか、それとも一緒になって結婚するか、どちらかということ？」

雪は彼の目を見つめて言った。「約束できないのね？」もし彼が二人の感情に自信がないなら、なぜ彼女と始めようとするのか？