第365章 佐藤姉さんに会いに行く

田中純希は心の中で「まずい」と思った。「女の子のクラスメイトに買うの？」

渡辺修一は言った。「加藤一晴のヘアゴムを壊しちゃったんだ。彼女が弁償しろって言うんだ。本当にケチだよ」

純希は額に冷や汗を浮かべた。「これは...人のものを壊したら弁償するのは当然でしょ」

「僕は彼女の隣の席なのに、ヘアゴム一つでそんなに目くじらを立てるなんて、やりすぎじゃない？」

純希は言葉に詰まった。これはどういう論理だろう？

修一はヘアアクセサリーを一つ選んだ。「これでいい？」

大きな赤いリボン、まさに男性の審美眼だ。

純希は思った。修一のこの分野での目は、お父さんよりずっと劣っている。健太が普段彼女にくれるプレゼントはいつも気に入っていた。

純希はいくつかのアイテムを選び、小さなスカートも一つ選んだ。「これらはどれもいいわよ」

修一は言った。「妹にも一つ選んで」

純希は彼に自分で選ぶように言ったが、修一はママを見て言った。「どうやって選べばいいかわからない」

「大丈夫よ、あなたが選んだものなら妹は何でも喜ぶわ」

修一は小さなぬいぐるみを選んだ。「これなら間違いないよね」

純希が会計に行こうとすると、修一は自分のカードで支払うと主張した。「女の子にお金を払わせるわけにはいかないよ」

純希は笑いをこらえきれなかった。渡辺家の坊ちゃまは確かに威勢がいい。

「坊ちゃまがお会計するのね。ママには何かプレゼントしないの？」

修一はカードで支払いを済ませ、純希に言った。「ここのものはママには合わないよ。ママはジュエリーショップで選ばないと」

「ジュエリーショップのものはとても高いわよ」実際、ここのものも安くはなかった。入っているブランドはどれも有名で、子供向けの商品はさらに高価だった。

修一はお金のことを全く気にしていなかった。「おじいちゃんが僕のために口座を開いてくれたんだ。僕は千裕おじさんと一緒に株を買って、儲けたんだよ」

純希は完敗を感じた。

彼女はかつて小さなマンションを買うために悲惨なほど節約し、タクシーに乗るだけでも数日間心を痛め、渡辺社長の車に相乗りしても彼に軽蔑されてこき下ろされた。