第38章 密かに狙う

翌日、須藤夏子は服を着替え、メイクを済ませた後、須藤明良から電話があり、彼女の寮の下で待っていると言った。

夏子はスニーカーを履いて下りていった。

車の中で、明良は運転席に座り、木村眉子は後部座席に座っていた。夏子が乗り込むと、眉子の目がすぐに細くなり、かつて求めても得られなかった感覚が心の中に広がった。

夏子のこの服、どこかで見たことがあるような…

須藤夏子は車に乗るとすぐにハイヒールに履き替え始め、眉子の視線に全く気づいていなかった。

むしろ明良が振り返って一言言った。「夏子、その服装とても似合ってるよ」

夏子は笑って言った。「ありがとう、お父さん」

明良の本意は、この服や装飾品がどこから来たのか聞き出したかったのだ。見たところ高級品だったが、夏子が言わない以上、深く追求するのも良くないと思い、運転に集中した。

木村眉子はおしゃれが好きな女性で、良いものもたくさん見てきたので、もちろん夏子の服や靴、アクセサリーがシンプルに見えても良い品だということがわかった。彼女は我慢しながらも、ずっと欲しがっていた。車を降りる直前、ついに我慢できなくなった。

「夏子、そのネックレスとイヤリングは付けると老けて見えるわ。ママと交換しましょう」

夏子は、どうせ母親が用意してくれたものだから、交換してもいいかと思い、イヤリングを外し始めた。

そのとき、突然誰かが窓をノックし、すぐに見覚えのある顔が窓に映った。

「天音?」

夏子はちょうど彼女を探していたところだったので、すぐに窓を開けた。

陸橋天音は不思議そうに眉子を一瞥し、眉子を震え上がらせるほどの視線を送った後、夏子に笑いかけた。「お姉ちゃん、これがあなたの家の車だと思ったの」

夏子は周りを見回した。一様に高級車ばかりで、最も安いものでさえ、彼女の家の車よりはるかに高級だった。この小娘が一発で当てたのも無理はない。

「お姉ちゃん、何をしてるの?早く降りてきて」天音は夏子がまだ車内に座り、イヤリングを外そうとしている様子を見て、すぐに焦り、夏子を車から引っ張り出した。

眉子は目が赤くなるほど怒ったが、人が車から降りてしまった以上、どうすることもできず、ただ悔しそうに天音を一瞥した。

「これがあなたが言っていたお姉さんなの?本当に思いもよらなかったわ。こんにちは、松本微子よ。私の家へようこそ」