第52章 これが違いだ！

「じゃあ、私、服を買い直した方がいい？」

須藤夏子は何かを悟ったかのように、西園寺真司の深い思いやりを理解したようだった。自分を人より低く見る必要はない。特にこの結婚生活において、真司は彼女に平等な立場を与えてくれているのだから、他人の前でわざわざ自分を卑下する必要はないのだ。

ただ...彼女の服は確かに古くなっていた。しかも、多くの服は深井杏奈と一緒に買った同じデザインのものだった。過去に別れを告げたのなら、彼女も完全に新しい一歩を踏み出す時なのかもしれない。

真司は彼女の思考回路に疑問を持ちつつも、ようやく彼女に自覚の兆しが見えたことを喜び、言った。「服や装飾品のことは、すでに一郎に頼んである。捨てるべきものは全部捨てなさい」

夏子はさっそく選別を始め、最終的に彼女が持ってきた服の中で、まだ見られるものはたった三着だけになった。

真司は思わず目を細め、尋ねた。「須藤夏子、須藤家はそれなりに裕福なはずだが、どうしてこんなに落ちぶれているんだ？」

夏子は恥じるどころか、むしろ目に誇らしさを浮かべて言った。「私は大学に入ってから、家のお金を使っていないの。音楽学院に合格してからは、毎年奨学金をもらっていて、これらは全部自分で稼いだお金で買ったものよ」

真司は彼女のこの誇りに完全には同意できなかったが、少なくとも彼女の目に再び自信の灯が点ったのを見て、それ以上彼女を批判することはしなかった。

夕食後、宮平一郎が夏子に数着の服と装飾品を届け、さらにデザイナー二人を連れてきて、夏子の寸法を測った。夏子は寸法を測るだけで終わりだと思っていたが、スタイリストがさらに彼女のイメージを再設計しようとしていた。

「須藤お嬢さん、どのようなスタイルがお好みですか？清楚でキリッとしたものか、それとも少し大人っぽい魅力的なものか。お嬢さんはまだお若いですし、お顔立ちも立体的で美しいので、前者の方がお似合いかと思います」二人のスタイリストが話し合った後、突然夏子にそう言った。

夏子は少しショックを受けた。実は聞きたかった。彼女は今どちらのタイプなのだろうか？今の彼女は清楚でもなく、大人っぽくもないということなのか？