第50章 直視できない陸橋天音

「ちっ……成人男女の婚姻は自由、これは法律で定められていることよ。私たちはあなたたちに通知しに来たわけでも、意見を求めに来たわけでもないわ。あなたが同意するかどうかは私たちには関係ないことよ！」

陸橋天音は完全に戦闘モードに入っていた。須藤明良が怒鳴り終わるや否や、彼女は軽蔑的に一言返し、明良を再び言葉に詰まらせた。

木村眉子は言った。「私たちは彼女の両親よ、娘の結婚に口を出す権利があるわ！とにかく私たちは同意しない、戸籍謄本なんて渡さないからね！」

天音は大きくため息をついた。明らかに忍耐が尽きたようで、直接キッチンに向かい、そこにある鍋や皿、お玉などをことごとく叩き壊した。眉子は彼女の後を追って止めようとしたが、足元に散らばった陶器の破片に怯え、何度も後ずさりした。

天音は思う存分壊し終えると、眉子を指差してもう一度尋ねた。「渡すの？渡さないなら、あなたも叩き壊すわよ！」

明良は暗い顔で須藤夏子を見つめていたが、夏子は頭を下げて自分の足先を見ていた。

西園寺真司はもはや傍観できず、キッチンに駆け込んで言った。「陸橋天音、やり過ぎるな。お前が陸橋家の人間だからといって、手を出せないと思うなよ！」

天音は可愛らしく頭を振り、笑いながら言った。「じゃあ、試しにやってみる？」

「お前は……天音、権力を笠に着るな！」

天音は笑みを引き締め、再び嘲笑うように言った。「あなたたちが権力を笠に着るのはいいけど、私がいじめるのはダメなの？なぜ？私はいじめるわよ、かかってきなさいよ！」

石川城太は目を鋭くし、天音の襟を掴もうと近づいた。本気で手を出すつもりのようだった。夏子は驚いて急いで真司を見たが、真司は平然とした表情を浮かべていた。その直後、痛みの叫び声が聞こえ、振り返ると城太が床に倒れていた。

夏子は完全に呆然としていた！

「天音は黒帯の達人だ」真司は簡潔に説明した。

夏子はもはや天音を直視することができなかった！

城太は床に倒れ、腕が床の陶器の破片で切れていた。深井杏奈は急いで駆け寄って彼を助け起こし、怒りの目で夏子を見て言った。「夏子、彼らはあなたの両親よ、どうしてこんな風に彼らをいじめることができるの！それに城太のことも、今は一緒じゃないからって、こんなに情けなくていいの？」