第132章 節操は落ちたが、貞操はまだある……

「これって、しつこく迫るってことじゃないの?私はもうしつこく迫ってるけど、もっと手っ取り早い方法はないの?」

陸橋軽穂はその言葉を聞くと、自分の父親を恐る恐る見てから、こっそりと西園寺真司の耳元に近づいて言った。「兄さん、真実を教えてあげるよ。実は父が母を追いかけてた頃、他の女性には一切手を出さなかったんだけど、母の前では飢えた狼そのものだったんだ。一番重要なのは後者だよ、わかる?」

真司は何かを悟ったように頷いた。もしかして...自分が紳士すぎるのか?

「君の言うとおりなら、女性の心を得るには、まず彼女の...身体を得る必要があるってこと?」

軽穂は頷いて教え子の理解力に満足したが、すぐに何かを思い出したように、突然お茶を噴き出し、真司を指差して震える声で尋ねた。「に、兄さん、まさか貞操まだ守ってるの?結婚してる人なのに!」

真司はこの点において自分が確かに失敗していると感じ、恥ずかしさから顔を引き締め、自分の貞操がまだあるという事実を隠そうとした。

しかし隠せば隠すほど明らかになり、最後には軽穂が爆笑しながら言った。「兄さん、結婚証明書をもらった夜、まさか義姉さんと布団をかぶって純粋におしゃべりしてたんじゃないでしょうね?」

真司の表情はますます暗くなり、ついにはさっと立ち上がり、軽穂に冷たい視線を投げかけてから、ドアを乱暴に閉めて出て行った。

軽穂は自分の幸災楽禍を全く隠さず、その笑い声は書斎からリビングの入り口まで響き渡った。

真司は暗い表情のまま、ちょうど書斎のドア前で階段を降りてきた須藤夏子とばったり出会った。

夏子は彼の表情が良くないのを見て尋ねた。「どうしたの?」

彼女は書斎から誰かの笑い声が聞こえてきたので、兄弟たちはかなり楽しく話していたはずだと思っていた。

真司は直接夏子の手を取り、後ろにいる陸橋夫人に言った。「義母さん、夏子を私の家に連れて行きたいんです。今日は夏園には泊まりません。車を貸していただけますか。」

陸橋夫人は執事に合図し、執事はすぐに車のキーを持ってきて真司に渡した。

真司は夏子を連れて車庫へ向かい、執事はその後でプレゼントを包んで持ってきた。