第150章 この世の男は、私以外みんなダメだ

「すみません、鈴木――」

「夏子、君は鈴木社長と知り合いなの？」

須藤夏子が断りの言葉を口にしようとした瞬間、西園寺真司の磁力のある力強い声が後ろから聞こえてきた。彼女は思わず振り返り、西園寺が彼女の大好きなイチゴジュースを持ってゆっくりと歩いてくるのを見た。

夏子は無意識のうちに西園寺の方へ駆け寄った。

鈴木森吾は須藤夏子の隠しきれない喜びを見て、すぐに西園寺と夏子の間を視線で行き来させた。夏子の首筋にある赤い痕を見たとき、彼の眉間が少しだけ寄ったが、すぐに元に戻った。

「西園寺社長、お会いできて光栄です」鈴木は歩み寄り、友好的に挨拶した。

西園寺はゆっくりと鈴木を見たが、彼の目には普段他人に向ける軽蔑の色はなかった。しかし十分に冷淡で、ただ軽く頷いただけだった。

夏子は三人がここに立っている状況が気まずく、奇妙に感じられたので、西園寺の腕を軽く引っ張り、もう離れたいという意思表示をした。

彼女の本意は、西園寺に何か口実を見つけて自分を連れ出してほしいということだったが、結果として西園寺は何も言わずに彼女の手を取ってその場を離れた。

夏子：「……」

「あなたも鈴木社長と知り合いなの？」夏子はエレベーターに乗ってから、やっと西園寺に尋ねた。西園寺の「無礼さ」は自動的に無視した。結局のところ、西園寺は彼女の心の中では、人に対して礼儀正しくあることはめったになく、彼女もそれを気にしなくなっていた。

西園寺は彼女が他の男性のことを尋ねるのを聞いて、心の中で少し不機嫌になり、淡々と「うん」と答えた。

夏子はジュースを飲みながら下を向き、西園寺若様の不機嫌さに気づかなかった。少し考えてから、また尋ねた。「じゃあ、彼のことをどう思う？」

西園寺の顔が一瞬曇り、声はさらに冷たくなった。「普通だよ！」

夏子はようやく彼の声の調子がおかしいことに気づき、小さな顔を上げて彼を見た。そして驚いた……この人、まさか嫉妬してるの？

彼女と鈴木はたった二度目の出会いで、ほとんど会話もしていないのに、一体何に嫉妬しているというのだろう？

少し考えた後、彼女は説明した。「私と鈴木社長は前回の採用活動で知り合っただけで、ほんの数言葉を交わしただけよ。さっきの出会いも偶然だったの」