第165章 封筒の中の秘密

西園寺真司はずっと黙って木村敏子を観察し、物音一つ立てずに須藤夏子と木村敏子の会話を聞いていた。一方、櫻井静は隣で少し緊張した様子で見守っていた。二人の会話が終わると、真司はようやく静かに静に頷き、静はそれを見てほっと胸をなでおろした。

東京に戻った後、敏子は直接、静が手配した家に向かった。

夏子は真司と一緒にパシホテルに戻った。

「荷物は僕が片付けるから、君はゆっくり休んで」真司は夏子の体調が優れないことを知っていた。しかもそれは全て自分のせいだった。そのため、自ら進んで荷物の整理を手伝い、夏子にベッドで横になるよう促した。

夏子は確かに体調が悪かったが、眠れなかった。真司が荷物を片付けている間に、彼女は前回陸橋夫人から渡された封筒を取り出した。

夫人は、この封筒は東京に着いてから開けるようにと言っていた。夏子はずっとそのことを覚えていた。

封筒を破ると、中から一枚の写真と一枚の紙が出てきた。

写真には二人の人物が写っていた。深井杏奈と、夏子の知らない中年男性だ。

そしてその紙は、杏奈に関する整形手術の証明書だった!

「杏奈の整形証明書?ママはなぜこんなものを私に?」夏子はまずその整形証明書を見て、疑問でいっぱいになった。

杏奈が整形したことは知っていた。それは彼女が20歳の時のことだ。しかし夏子が知っていたのは杏奈が顎を整形したことだけだった。だがこの証明書には、杏奈は顎だけでなく、鼻や目も何度も整形していて、その時期は14歳から18歳に集中していると書かれていた!

その年齢の少女はまだ成長段階で、整形に適した時期ではない。なぜ杏奈はその時期に整形を選んだのだろう?

夏子は少しショックを受けた。自分は杏奈のことを全て知っていると思っていたが、今となっては...当時の自分はなんて無邪気だったのだろう。

杏奈の整形証明書を見終わった後、夏子は写真を手に取った。

写真の杏奈は現在と変わらない。もし整形証明書が本物なら、写真の杏奈は整形後のはずだ。そして杏奈の隣に立っている中年男性は、杏奈と6割ほど似ていて、特に欧米風の目と高い鼻が...

目と鼻!

夏子の頭の中で何かが急速に閃いた。あまりにも速くて、ほとんど捉えられないほどだった。

そして次の瞬間、彼女の視線は再び写真の中の二人の似た顔に落ちた!