第185章 浪費家の西園寺夫人

須藤夏子は自分の病気がますます深刻になっていると感じていた。

西園寺真司が何を言おうと、彼女は無条件に信じていた。

だから真司が先ほど復讐のために自分を傷つけることはないと言った時も、彼女は少しの疑いもなく信じた。

真司は彼女の心配と信頼を喜んでいた。この小さな妻の気持ちに感謝して、彼は彼女を助けることにした。

「今日、わざと深井杏奈の写真を欲しがっていたの?どうしても必要なの?」

夏子はこの話題にすぐに注意を引かれ、あれこれ考えた末、頷いて言った。「どうしても必要なの。それも彼女の子供の頃から今までの写真。あなたが何とかして手に入れてくれる?」

真司はただ頷いて言った。「木村に頼んで何とかしてもらおう」

夏子はすぐに嬉しくなり、数秒間ためらった後、勇気を出して真司の頬にキスをした。

真司は本当にこの小さな存在を自分の体に溶け込ませたいと思ったが、衝動を必死に抑え、彼女の小さな手を引いて須藤家に車を取りに戻った。

夏子は腕時計を見て言った。「まだ午後3時だわ。今ホテルに戻っても何もすることないし、どこかに遊びに行きましょう」

「どこに行きたい?」真司は車を発進させながら尋ねた。

夏子は急に目を輝かせ、真司が握っているハンドルに視線を落とし、にこにこ笑って言った。「広い場所を見つけて、車の運転を教えてくれない?」

彼女は毎日の通勤にタクシーを使うか、宮平一郎か真司に送り迎えしてもらっていて、確かに面倒だった。もし運転の技術を身につければ、今後は自分で車を運転して通勤できる。学校にはフェラーリが一台あるのだから、ずっと駐車場でカビを生やしておくわけにはいかない。

真司はこの提案が確かに悪くないと思い、東京最大のサーキット場へと車を走らせた。

夏子は高い場所に立ち、下のコースを走り続けるレーシングカーを見て、口が「O」の形に開いた。「西園寺若様、私は普通に大通りで運転したいだけで、ワイルド・スピードごっこをしたいわけじゃないんだけど」

真司は彼女の言葉を聞いていないかのように、横にいる支配人に小声で何か言った。そして30分もしないうちに、コース上のすべてのレーシングカーが消え、真司のかっこいいスポーツカーが入ってきた。

夏子は再び呆然とした。これが噂の「貸し切り」というものなのか?