第190章 前世で銀河系を救った【追加更新】

鈴木森吾の計画は、須藤夏子を歌壇の頂点、つまり国際的な舞台へと押し上げることだった。

実力のあるアーティストを育てることは、実はそれほど難しくない。会社がお金を出す意思があり、アーティスト自身に実力があれば、国際舞台に押し上げるのに5年もあれば十分だ。

夏子はこの二つの条件を満たしているのに、そういう気持ちがまったくない。

彼女の周りの人から手を付けたら、もう少し簡単になるだろうか?

田中敏子は少しの間、密かに考えていた。森吾がなぜ夏子を押し上げることにこだわるのか理解できなかったが、それは彼女が任務を遂行する妨げにはならなかった。

「夏子さんまでが森本さんを褒めるなんて、本当に素晴らしい作品なのでしょうね。森本さん、映画の曲を書いてみる興味はありませんか?」

森本千羽は、天から大きなチャンスが降ってきたような気がして、少しふらふらしながら尋ねた。「敏子さん、冗談じゃないですよね?」

そんな良い仕事が自分に回ってくるなんて信じられない。映画のために一曲書くだけでも、かなりの収入になるのだ。

敏子は微笑んで言った。「冗談に見えますか?実はちょうど良いタイミングなんです。会社は今年、年末映画を企画していて、元々は長谷米花先生たちに映画のテーマ曲と挿入歌を依頼するつもりでした。でも会社は今年、大きなプロジェクトが多すぎて、長谷先生たちは時間が取れないんです。櫻井部長も数日前にこのことで悩んでいました。」

「でも、そんな仕事が千羽に回ってくるのも簡単じゃないでしょう?」夏子は少し心配そうに尋ねた。

「簡単ではないですが、チャンスですよね?今夜、櫻井部長に話してみます。森本さんの経歴では、まず曲を書いて持っていき、選んでもらうことになるでしょう。選ばれるかどうかは完全に森本さんの実力次第です。」

夏子はこれが本当にチャンスだと思った。

千羽には実力がある。しかし、才能はあるのに日の目を見ない多くの音楽家と同じ状況だった。この世界では、実力とチャンスがあれば基本的に成功する。千羽に足りないのはチャンスだった。少し縁故採用の疑いはあるが、これも千羽のチャンスだ。千羽が夏子に出会ったのだから…