第191章 まさか被虐体質だったとは

レストランを出た後、須藤夏子は直接車を運転してショッピングモールへ向かったが、S&Yモールには行かなかった。

森本千羽は車から降りてショッピングモールの名前を見た後、夏子の袖を引っ張って言った。「ここって、お金持ちしか来られないようなモールじゃない?私たちがこのまま入って、追い出されたりしない?」

夏子は自分の服装を見た。彼女が着ているのは普通のトップス、ジーンズ、そしてハイヒールだった。千羽はさらにカジュアルな格好をしていた。以前指輪を買いに行った時の不愉快な経験を思い出し、夏子は少し自信がなくなった……

「さすがにそこまでじゃないでしょ?」

千羽も明らかに傷ついた経験があるようで、目に嫌悪感を浮かべながら言った。「前にこのモールに来たことがあるんだけど、店員たちがすごい拝金主義だったわ」

夏子は深く共感し、千羽の隣で何か言葉を交わすと、千羽はすぐに目を輝かせて言った。「じゃあ、そうしよう!」

そう言うと、二人はすぐにモールの4階の衣料品売り場へ向かった。

「これと、これと……あとこれも」夏子は店内に入るとさっと目を通し、高そうなドレス二着とハイヒールを指さし、何も言わずにカードを取り出して支払おうとした。

二人の店員は目を合わせ、あまり見栄えのしない客がこんなに気前よく買い物をするとは思っていなかったようで、急いで服を取りに行った。

千羽が近づいて小さく笑い、言った。「一着買って着ればいいじゃん。あなた、旦那さんにプレゼント買うんでしょ?節約した方がいいよ。そうしないと後で足りなくなったらどうするの?ここのドレス、本当に高いと思うよ」

夏子は一瞬理解できず、尋ねた。「あなたはいらないの?もう一着はあなたに買ってあげるつもりだったのに」

千羽は急いで手を振って言った。「やめて、私は貧しさから抜け出せないタイプよ。数百元のドレスならもらうけど、こんなに高いのはいらないわ。私はあなたの小間使いを演じる方が似合ってるから」

夏子は「プッ」と吹き出して笑った。「まさか、あなたがドMだったなんて」

千羽は彼女お得意のおバカな笑顔を見せ、厚かましく答えた。「あなたに取り入りたいのよ……」