写真を見終わった後、須藤夏子はしばらく考えてから、やはり写真を処分することにした。そして西園寺真司の意見を聞くことなく、すべての写真を引き裂いてゴミ箱に捨てた。
宮平一郎は鼻をさすりながら自分の若旦那の方を見たが、若旦那の穏やかな目にも疑問の色が浮かんでいるのが見えた。しかし若旦那が何も聞かないのだから、彼も当然口を開くことはなく、まだ重要な用件があることを思い出し、声を低くして言った。「若旦那、明日学校へ——」
西園寺真司が冷たい目で一瞥すると、一郎はすぐに口を閉じ、外で話すよう合図した。
夏子は二人が出て行くのを見たが、特に気にせず、パソコンを取り出して深井泰歩の情報を検索した。
情報によると、泰歩の最初の妻は須藤桜という当時絶大な人気を誇った歌手兼女優だった。しかし夏子は知っていた。桜の本名は実際には須藤英子であり、桜は彼女の叔母、つまり須藤明良の実の妹だったのだ。
桜はかつて泰歩との間に娘を一人産んだが、出産後間もなく桜は「亡くなった」とされていた。しかしこの「死」は世間の噂に過ぎなかった。
夏子はかつて偶然、明良と木村眉子の会話から聞いたことがあった。桜は死んだのではなく、誰かと駆け落ちしたのだと。駆け落ちする前に、桜は自分の娘とすべての財産を明良に託し、一時的に娘の養育を頼んだのだという。
しかしそれ以来、桜は二度と姿を現すことはなかった。
深井家は桜が失踪して半年後に桜の死亡を認定し、泰歩はすぐに深井詩乃の母親である田村子晴と結婚した。
夏子は考えた。もしかして深井家も桜が誰かと駆け落ちしたことを知っていたのではないだろうか。そうでなければ、なぜ深井家は長女を外に放置したままにしておいたのだろう?
この考えが浮かぶと、ますます可能性が高いように思えてきた。すぐに桜の写真も検索し、深井杏奈と比較してみると、杏奈の顔の輪郭と顎が桜とよく似ていることに気づいた。しかし杏奈の顎も整形したものだと思い出すと、夏子の顔色が再び思わず青ざめた。
これも偶然の一致なのだろうか……
夏子はパソコンを閉じ、心の中ですでに決心を固めていた。そして陸橋夫人である稲垣令枝に電話をかけた。
しばらくして、ようやく電話がつながった。夫人の声はとても小さく、少し息が荒かった。この声は……彼女自身がよく知っているものだった。