西園寺真司は須藤夏子が途中で目を覚まし、現行犯で捕まるとは思っていなかった。
そして、西園寺若様は生まれて初めて床で寝ることになった……
翌朝早く、夏子が起きるとすぐに、真司は周りの視線も気にせず彼女を抱きしめ、尋ねた。「ねえ、まだ怒ってる?」
夏子は彼を押しのけ、怒りながらリンゴを彼の胸に押し付けて言った。「私は肉がないから抱くと手が痛いでしょ。これを抱いていなさいよ!」
真司はそのままリンゴを陸橋軽穂の口に押し込み、後ろから夏子に飛びかかり、ようやく彼女を捕まえて言った。「もしまだ怒るなら、キスするよ」
夏子は彼を睨みつけ、全く脅威のない脅しを無視して、さらに抵抗した。
真司は言葉通り行動に移し、彼女の小さな頭を掴んで、激しくキスをした。
軽穂が咥えていたリンゴが「ぱたり」と床に落ち、四人の女の子たちと「見物」に来ていた深井杏奈の一行は揃って口をつぐんだ……
夏子は顔を真っ赤にして、思い切り真司の足を踏みつけた。
真司はようやく夏子の唇から離れたが、まだ彼女をしっかりと抱きしめたまま、小声で尋ねた。「まだ怒ってる?」
夏子は急いで首を振った!
石川城太の仲間たちはこの口説きテクニックに驚き、一斉に真司を見つめた。真司は冷たく鼻を鳴らし、ようやく「怒りを収めた」妻を抱えて寝室に戻り、荷物をまとめた。
……
深井杏奈の熱は夜中には下がっていた。今はまだ元気そうには見えないが、昨夜に比べればずっと良くなっていた。
全員が荷物をまとめ終わると、深井家から送られた車が山の麓で待っていた。
「昨日は……ありがとう。この恩は忘れないわ」杏奈は長い間躊躇した後、出発前にようやく夏子に一言言った。
夏子は冷たく答えた。「気にしないで」
そう言うと彼女は木村弘恪が運転する車に乗り込み、去っていった。
杏奈は遠ざかる車を見つめ、瞳が微かに揺れた。そして振り返って車に乗り込んだ。昨夜彼女の世話をした四人の女の子たちも一緒に車に乗った。
「昨夜はありがとう」杏奈はバッグからカードを取り出し、黄色い服を着た女の子に渡して言った。「明日結婚式があるから、あなたたちとショッピングに行く時間がないの。これにはお金が入っているから、欲しいものがあったら自分で買ってね」