第267章 彼の執念

西園寺真司は念願の写真を手に入れ、前にいる陸橋軽穂と後ろにいる鈴木森吾を引き裂いて、ゴミ箱に捨てた。

須藤夏子が手に持っていた花が鈴木森吾からもらったものだと思い出し、真司はハサミで夏子の手にあった花束を切り取った。最終的に、写真には口を押さえて笑っている夏子だけが残った……

同じ時間、森吾も写真を手に入れていた。それも二枚。

一枚は夏子と真司のもの。

もう一枚は、軽穂と同じ写真だが、写っているのは彼と夏子の二人だけだった。

「鈴木社長、広報部に準備させた原稿ができました。ご確認されますか?」

森吾はうなずき、アシスタントはすぐに手元のタブレットを彼に渡した。

彼は読み終えると少し考え込んでから言った。「我が社のタレントという立場で発表して、余計なことは言わないように。『豪門に嫁ぐ』というような言葉は見たくない」

アシスタントは明らかに森吾の口調に怒りを感じ取り、急いで言った。「すぐに修正させます」

森吾はうなずき、真司と夏子の写真をアシスタントに渡した。彼と夏子の写真については……少し迷った後、自分で保管することにした。

「そういえば社長、もう一つ報告し忘れたことがあります。先ほど田村敏子から電話があり、西園寺若様が一方的に契約解除を指示したそうです。田村さんはもう須藤お嬢さんのマネージャーではありません」

森吾は意外そうに眉を上げた。こんなに早く気づかれたのか?さすが真司だ……

「夏子の新しいマネージャーは決まったのか?」

「決まりました。ただ、我が社の者ではなく、須藤お嬢さんの同僚兼友人です。西園寺若様の人間のようですが、買収を試みますか?」

森吾は笑いながら首を振り、尋ねた。「財力で勝負するなら、陸橋家を除いて、誰が真司に勝てるだろう?彼女がなぜ我々に買収されるだろうか?真司は人を見る目がある。それに、櫻井静が後ろで守っているのだから、無駄な努力はやめておこう」

アシスタントは反論できず、続けた。「田村さんはまた、前回お話しした矢野柚棋を女優主役に起用する件はまだ有効かどうか尋ねていました」

森吾は眉をひそめて少し考えてから言った。「約束したのだから、彼女に与えよう。柚棋という子は潜在能力がある。育てる価値がある。他に彼女に合うプロジェクトがないか確認してくれ」