写真を撮り終えると、西園寺真司は本来なら須藤夏子を連れて彼女の好きなものを買いに行くつもりだった。
しかし夏子は後ろについてくる光る「尻尾」が三本もあるのを見て、すぐに買い物に行く考えを打ち消した。
家に帰ると、夏子は満足そうに昼寝をしに行き、真司は宮平一郎と木村弘恪を連れて二階のリビングで話をすることにした。
「少爺、すでに二十四社の主要メディアサイトからプレスリリースが届いています。確認しましたが、すべてご要望通りです。写真を添付するだけで、今日の午後五時に正式に配信できます」
「会社の声明文は準備できているか?」真司は機嫌よく尋ねた。
「すべて準備完了です。前会長の承諾も得ており、声明はニュースリリース配信の二時間以内に発表されます。広報部もすでに全員配置につき、不利な噂が出ないよう対策を講じています」
真司は満足げにソファの上で指先を軽く叩き、しばらくして突然言った。「彼女の家柄については曖昧にしておけ」
一郎は困惑した様子で真司を見て言った。「少爺、ニュースが出れば、出身が注目されるのは時間の問題です。今あえて曖昧にすると、かえって人々の好奇心を刺激してしまいます。簡単に説明しておいた方がよいのでは」
真司は考えることなく、一郎に自分の言った通りにするよう命じた。弘恪は何かを察したようで、「少爺、須藤家の方には事前に話をつけてあります。誰にも隙を与えないようにします」と言った。
一郎はようやく真司の懸念を理解した。
須藤家、確かに厄介な存在だ。
若奥様が須藤姓である限り、須藤家は若奥様の名を借りて数え切れないほどの見えない利益を得ることができる。少爺が若奥様と須藤家の関係を意図的に隠したいのも無理はない。
すべての打ち合わせが終わり、弘恪と一郎は急いで去っていった。
陸橋軽穂は二人が去った後、一枚の写真を持って隅から現れ、意地悪く笑いながら言った。「兄貴、本当に陰険だね。明日は石川城太の結婚式だというのに、こんな不意打ちをかけるなんて」
真司は自分の「悪意ある意図」を少しも否定せず、「奴らの風向きを奪うのが狙いさ!」と言った。
軽穂は手にした写真を真司に差し出し、にやにや笑いながら取り入った。「兄貴、この写真、買い取りたくない?」
真司の視線が写真を一瞥すると、すぐに目を細めた。これは今日の午前中に撮った写真ではないか!