「これは誰が送ってきたの!」
須藤夏子は低く吠えると、素早くしゃがんで写真を拾い上げた。
西園寺真司はその様子を見て、急いで彼女を脇へ抱き寄せ、長い指先で素早く一枚の写真をつまみ上げた。写真に写っていたのは夏子と深井杏奈で、夏子がジュースを杏奈の体にかけているところだった。
その一枚だけでなく、床にはまだたくさんの写真があったが、そのほとんどは夏子と石川城太に関するもので、なんとその中には城太が夏子にプロポーズしている写真まであった!
「これはいつのことだ?」真司は手の中の写真を夏子に向け、厳しい表情で尋ねた。
夏子は数秒考えてから思い出した。「これは私が病院に包帯を替えに行って、杏奈が密かに妊婦検診に行っていたときのことよ」夏子は言いながら、突然おかしな点に気づいた。「あの日、天音は確かに私の隣に座っていたのに、写真には彼女がいないわ!」
真司はもう一度写真を注意深く見て、尋ねた。「本当に天音もいたのか?」
夏子は写真の中の空いている椅子を指さして言った。「天音はこの場所に座っていたわ、間違いないわ!」
真司は眉を寄せて写真を見つめ、心の中ですでに疑わしい人物を絞っていた。
東京で陸橋天音を知る人はそう多くない。松本家を除けば、深井家と石川家だけだ。相手は天音をこの件から外すことを知っていた。それは明らかに天音のバックグラウンドを知っている人物だ。石川城太は今、社長選挙の重要な時期にあり、こんな愚かなことをして郵送してくるはずがない。松本家にはそんな勇気もない。となると...残るは深井家だけだ!
真司の目は再びそれらの写真を素早く見渡し、最後に、一束の封筒の中から、グリーティングカードのようなものを見つけた。彼はそれを拾い上げて開くと、中には一行の文字が書かれていた:須藤お嬢さんを深井杏奈の結婚式にお迎えできることを楽しみにしております。
夏子がその一行を見たとき、最初は少し戸惑ったが、すぐに理解した。この人は彼女に警告しているのだ。杏奈の結婚式に行くなと警告しているのだ!