陸橋夫人から贈られた白いダイヤモンドのジュエリーセットを身につけ、須藤夏子は初めて非常に気品高く外出した。
市展示館に到着すると、外には車が二列の長蛇の列を作っており、車を降りて赤いカーペットを通って展示館に入るしかなかった。
夏子は車から降りる直前、深呼吸をして、素手で思わず西園寺真司の腕をつかんだ。誰が見ても彼女の緊張が伝わってきた。
陸橋夫人はその様子を見て冗談めかして言った。「自分の結婚式でもないのに、何を緊張しているの。」
夏子は大きな目を見開いた。そうだ、自分の結婚式でもないのに、何を緊張しているんだろう!
恥ずかしそうに頭をかいた後、夏子は鏡で自分のメイクと服装を確認し、落ち着いて真司の手を借りて車から降りた。
車から降りるとすぐに、両側から「無数の」カシャカシャという音が聞こえ、レッドカーペットの両側の人々が一斉に沸き立った!
「あの方は昨日結婚を発表したばかりの西園寺若奥様ではないですか?」
「陸橋夫人と西園寺若様の隣に立っている方、間違いなくそうですね。写真で見たのと同じです。」
「実物は写真よりも美しいですね!」
「無駄話はやめて、早く撮影して!」
……
耳に入る声は多かったが、ほとんど似たようなものだった。夏子は初めて真司のビジネス界での地位を実感した。なぜなら、記者たちが彼女を見る目は、まるで珍しい生き物を見るような目だったからだ。
ずっと笑顔を作り続けて顔が硬くなった数分後、夏子はようやく真司の腕を組んで展示館のホールに入った。ほっとできると思ったが、ホール内にもまだ装飾された花束の後ろに無数のカメラが設置されており、中を行き交う人々も多く、ちらっと見ただけでもリラックスできる雰囲気ではなかった。
「真司、ようこそ!」夏子がドレスの下に隠れたハイヒールを少し動かしたとき、前方から男性の声が聞こえてきた。
顔を上げると、深井和久と見知らぬ若い男性が花のアーチから歩いてきた。深井和久という人物は、彼女にとってもある程度知っている人物だった。真司によれば、彼は実際には悪い人ではないとのことだったので、彼女は全く違和感なく相手に頷いて微笑んだ。しかし、和久の隣にいる男性に目を向けると、夏子の笑顔は少し硬くなった。