第277章 犬も食わぬ醜い争い(1)

須藤夏子は、彼女と石川城太の過去の写真を送ったと言っていたけど、彼女はそんなことしていない!

夏子はさらに、写真を送ったのは彼女を脅して結婚式に来るのを阻止するためだと言った!

彼女はバカじゃないし、そんな愚かな方法を使うわけがない!

となると唯一の可能性は、写真を送ったのは深井詩乃だということ!

そしてカードに書かれた「須藤お嬢さんを深井杏奈の結婚式にお迎えできることを楽しみにしております」という一文は、明らかに詩乃の筆跡だった!

「詩乃、あなたはそれほど馬鹿じゃないと思っていたけど、今見ると本当に見くびっていたわ!どうしてこんなに愚かなことができるの?石川城太と須藤夏子の過去のことで夏子を脅すなんて!」杏奈は怒り心頭で、そのカードを詩乃の顔に向かって力いっぱい投げつけた。

詩乃は顔を真っ赤にしながらも、依然として高慢に顎を上げていた。

彼女も予想していなかった、夏子が脅しに屈しないなんて!

夏子は昨日西園寺真司との婚約を発表したばかりで、今の夏子は評判を大切にしているはずじゃないの?なのになぜ夏子は恐れていないの?もしかして彼女は自分が本当に写真を公開する勇気がないと思っているの?

詩乃は最初は全く理解できなかったが、すぐに何か重要なポイントを掴んだような気がした。

ふん!

須藤夏子、私が写真を公開する勇気がないと思っているなら、見ていなさい!

「そうよ、写真は私が夏子に送ったわ。それがどうしたの?彼女が本当に恐れていないなんて信じられないわ。昨日結婚の知らせが広まったばかりで、今日は義理の兄との噂が掘り起こされるなんて...あ、思い出したわ。あなたも怖いんでしょ?私が本当に写真を公開したら、あなたと城太も巻き込まれることを。杏奈、あなたにも怖いことがあるのね!」

杏奈は目に凶光を宿し、精巧な花嫁メイクが彼女の顔で歪んだ色彩を呈していた。今回彼女はためらうことなく、一気に詩乃のドレスを掴んだ!

「詩乃、もし私の結婚式を台無しにしたら、お祖母様があなたを許さないわよ!あの方は見栄っ張りで、この結婚式をこれほど盛大にしたのは、深井家と石川家が良縁を結んだことを皆に知らせるためなの。もし結婚式で恥をかかせたら、それはお祖母様に恥をかかせることになるわ!」