第353章 君は本当に独特な恥ずかしさだね

「西園寺真司、動かないで！」

皆の非常に「心配そうな」視線の中、西園寺真司は軽く体を動かし、長い指先で須藤夏子の顔を上げようとした。

しかし夏子は彼の胸にしっかりと顔を埋めたまま、震える声でそう囁いた。

その後、真司は彼女が自分のシャツに顔をこすりつけ、さらに頭をぐっと埋めるのを感じた。

彼は目を細め、軽く周りの客たちを見回した。彼の視線に気づいた客たちはすぐに気を利かせて顔をそらし、何も見なかったふりをした。

しかし会場の雰囲気は、夏子のあの大きなくしゃみによって再び騒がしくなっていた。

「どうしたの？」皆が頭を寄せ合って話している間に、真司は身をかがめて彼女に小声で尋ねた。

夏子は恥ずかしさのあまり地面に穴があれば入りたいほどで、しばらく口ごもった後、やっと声を潜めて言った。「わ、私、くしゃみをした時に、うっかり、うっかり鼻水をあなたの服にかけちゃった……」

真司：「……」

これが彼女の言っていた方法なのか？

真司は思わず苦笑いを浮かべた……

「須藤夏子、今二つの選択肢がある。一つ目は目眩を装うこと——」

真司が妻に助言しようとしていた。彼女を恥ずかしい思いをさせずに石川お婆様の計画を阻止するためだったが、言葉が口から出るか出ないかのうちに、彼の腕の中の彼女の体が急に力なく崩れ、倒れそうになった。

幸い真司の反応は素早く、夏子の体が崩れ始めるとすぐに彼の手が彼女の腰と肩をしっかりと支え、そのまま彼女を横抱きにした。その一連の動作は流れるように熟練していた。

石川お婆様はこの突然の出来事に顔を曇らせたが、急いで近寄って心配そうに尋ねざるを得なかった。「この子はどうしたの？」

真司が夏子を抱えると、人々は自然と道を開けた。彼は顔に焦りの色を浮かべ、適当に言った。「夏子は体調を崩していて、今はまた具合が悪くなったようです。先に彼女を休ませてきます。」

調子が悪いのはいつでもいいのに、どうしてちょうどこのタイミングで具合が悪くなるのか？

石川お婆様は心の中で彼女に腹を立て、自然とこんな質問が口から出た。「どうして急に具合が悪くなったの？」

真司は目に浮かぶ苛立ちを隠し、整った顔に心配の色を浮かべ、きりっとした眉を寄せて言った。「急ではありません。彼女はここ数日ずっと少し目眩がしていて、この前も頭をぶつけました。」