第373章 もう一度頼んでみて

須藤夏子は西園寺真司に何度も水をかけられたことがあったが、初めて人から水をかけられた。

そして西園寺真司も初めてこのような態度を取った。

二人がこのように騒ぎ立てたため、レストランの中でさらに注目を集めることになった。

「絶対わざとでしょ!」夏子は顔中に水をかけられ、乱暴にナプキンで拭きながら、小声で真司を責めた。

真司も近づいてきて、優しく彼女の顔を拭いてあげようとしたが、彼女の髪も濡れていることに気づいた。傷を隠すために、彼女は二日前にスタイリストにエアバングを作ってもらったのだ。真司は彼女の濡れた前髪を見て、突然意地悪く笑い、彼女の髪を拭いてあげながら、彼女の前髪を完璧な真ん中分けにしてしまった。

「きれいに拭けたよ。これからは『うんち』とかそういう下品な言葉を使わないように」真司は手を引っ込めて席に戻り、自分の傑作を眺めながら、とても満足そうだった。

夏子は髪のことに全く気づかず、ただひたすら自分の顔を触って、顔がきれいになったことを確認した後、目の前の皿を見て言った。「もう言わないわよ。それに、あれは千羽が言ったことで、私じゃないし。どうしよう、こんな料理もう食べられないわ、もったいないね」

真司は口元を上げて言った。「家で無駄にしている食べ物だって少なくないだろう?」

夏子は「……」と黙った。

実は彼女はもともとあまり食べておらず、ほとんど真司が食べていた。

「もう一皿取り替える?」真司は尋ねた。

夏子は急いで首を振って言った。「もういいわ」

「僕も食べ終わった」真司はすでにパスタ一皿とスープ一杯を食べていた。

夏子はみんなからずっと見られるのが嫌だったので、「じゃあ行きましょう」と言った。

真司はうなずき、夏子はすぐにウェイターを呼んで会計をした。

ウェイターは夏子のヘアスタイルを見るなり、頭を下げて笑いを堪えながら言った。「お客様、合計で1300円になります」

夏子は何がなんだか分からず、必死に笑いを堪えている店員を見て、ますます居心地が悪くなり、お金を払うと真司を引っ張って外に出た。

結局、彼女はどこに行っても皆が彼女を見て笑いを堪えているのが分かった。さらにひどいことに、声を出して笑う人もいた。

「私の顔に何かついてる?」レストランを出た後、夏子は眉をひそめて不思議そうに真司に尋ねた。