第17章 諦める決意

美智は首を振り、手首の翡翠の腕輪を外した。「お祖母様、もう後戻りはできません。直樹の心にあるのは彼女で、私ではありません。無理に武田家に残っても幸せにはなれません。腕輪はお返しします。この贈り物はあまりにも特別なので、受け取ることができません。他の贈り物はありがたくいただきますが。」

しかし老夫人は強引に腕輪を美智の手首に戻した。「お祖母ちゃんがあなたにあげたものはあなたのものよ。気に入らないなら壊してしまいなさい。お祖母ちゃんの心の中では、他の誰もこの腕輪をつける資格はないのだから。」

美智はどうすればいいのか一瞬迷った。

老夫人は腕輪の件にはこれ以上こだわらず、美智の頭を撫でながら優しく尋ねた。「奈々子、お祖母ちゃんに本当のことを言いなさい。あなたの心に直樹はいるの?たとえ憎んでいるとしても、それは彼があなたの心にいるということよ。」

美智は口を開きかけたが、「いいえ」と言おうとしても何も言葉が出てこなかった。

確かに今の彼女の心には彼がいた。彼を好きでもあり、憎んでもいた。

でも彼女は信じていた。十分な時間があれば、きっと彼のことを完全に忘れ、新しい人生を始められると。

残りの人生を武田家で費やす必要はない。

外の世界はとても広く、彼女にはやるべきことがある。

「奈々子、五年前、あなたのお祖母さんはこの老婆の命を救ってくれたのよ。私はその時、一目であなたという子が気に入ったわ。あなたのお祖母さんにあなたを武田家の孫嫁にしたいとお願いして、あなたを一生幸せで豊かにすると厳かに約束したのよ。」

老夫人は話しながら、目に涙を浮かべた。「直樹があんな間違ったことをするなんて、私はあなたのお祖母さんに何と言えばいいのでしょう。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。彼女は私を救ってくれたのに、私は恩を仇で返してしまった。」

美智は必死に首を振った。「違います、お祖母様。これはあなたのせいではありません。自分を責めないでください。お祖母さんはあなたを責めたりしません!」