第43章 初めての出会い

また新しい一日が始まり、午前9時。

美智はパソコンの前に座り、森田グループの一新されたファイアウォールを見つめ、動けなくなった。

これは誰が作ったファイアウォールだろう?

彼女は森田グループの連中と4日間も戦ってきたが、まともな相手は一人もいなかった。

どうしてこんな高レベルのファイアウォールが突然構築されたのだろう?

武田直樹が自ら手を下したのか?

この数日間、森田グループを攪乱してきたが、彼らの機密には当然手を出していない。ただ、時々重要でない情報を見るのは、ついでのことだった。

だから彼女は直樹がフィンランドに出張していたこと、そして今日帰国したことを簡単に知ることができた。

ただ、彼女が想像していなかったのは、直樹のレベルがこんなに高いということだった。

新しいファイアウォールは突破できるが、少なくとも一週間はかかる。

時間がかかりすぎる。美智は今、借金に押しつぶされそうで息もできない状態だった。彼女はまだ有賀尚明から与えられた仕事でお金を稼ぐ必要があり、こんな損な取引はしたくなかった。

武田直樹は大学で最も役に立たないと言われる哲学を専攻していたのではなかったか?

彼のコンピュータースキルがこんなに高いとは?

思えば、美智が大学でコンピューター専攻を選んだのは、直樹の影響を受けたからだった。

5年前、初めて直樹に会った時、彼女は高校3年生だった。

その日は週末で、武田奥さんが外出先で気を失って倒れ、美智の祖母に救われた。武田朝雄は二人の息子を連れて直接お礼に訪れた。

長男の武田瀧尾は物事に抜かりなく、温和な性格で、人に親しみやすかった。

次男の直樹は兄とは正反対で、終始冷淡な態度を示し、人を寄せ付けない雰囲気を漂わせていた。他人が話しかけても相手にせず、まるで世界全体と相容れないように見えた。

奥さんが死の淵から生還し、瀧尾は喜びのあまり涙を流し、孝行息子らしく老人の側で細やかに世話をした。

しかし直樹は涙を一滴も流さないどころか、表情すら変えず、奥さんの世話もしなかった。彼は遠くに立っていた。

その夜、武田奥さんは容態が安定しないため、祖母の家に泊まることになった。

彼女に付き添って残ったのは直樹だった。

朝雄は長男を連れて市内に戻った。翌日は月曜日で、彼らはグループの仕事に行かなければならなかったからだ。