第34章 受付嬢でも良い

有賀尚明は急いで言った。「わかっています、わかっています。ですが武田社長、私はこれまであなたが修復したいものを見たことがなかったんです。今見て初めて判断できるようになりました。これは本当に修復できないんです!現在の技術レベルでは無理なんです。信じられないなら、他の会社に聞いてみてください。嘘はついていません!」

武田直樹の表情が冷たくなった。

もちろん彼も他の会社に問い合わせていた。答えはどこも同じで、映像の損傷がひどすぎて修復不可能だというものだった。

この映像はウイルスに感染した映像とは別物で、彼自身も修復できなかった。

しかし目の前の有賀は、1000万円という金額を聞いた後に明らかに躊躇していた。彼の周りには必ず腕利きがいるはずだ!

ただ、その腕利きは彼でさえ説得するのが難しいということだろう。

直樹の声に鋭さが混じった。「その答えは受け入れられない!三日間の猶予をやる。どちらかを選べ。映像を修復できる人間を見つけるか、あるいは会社を潰すか!」

言い終わると、彼は立ち上がり、アシスタントを連れて応接室を出た。

有賀は頭を抱えながらも、丁重に立ち上がって見送らざるを得なかった。

オフィスエリアでは、全員が直樹の方を見ていた。興奮した顔、憧れの眼差し、皆が彼を観察していた。

普段なら、直樹はこういった人々を完全に無視するところだった。

しかし今は、この中に映像を修復できる腕利きがいる可能性があると感じていた。

彼は一人一人を見返した。

そして、失望して視線を戻した。

直感が告げていた。これらの人々の中に、その人物はいないと。

彼は外に出た。

ドアの外の受付で、美智は梨々子さんと一緒にお辞儀をして微笑んだ。「武田社長、お気をつけて!」

直樹は足を止め、彼女を一瞥した。彼女がこのような技術的価値のない受付の仕事に満足しているように見えて、眉をひそめた。

「美智、こんな仕事に将来性はない。もっと役立つことを学ぶべきだ」

美智は彼が自分を教育するとは思っていなかった。冷淡に反応した。「そうですか?」