十四人の人たち、陸直樹はすぐに全員に質問を終えた。
全員の学歴、専門、そして過去の職歴を確認したが、怪しい点は見つからなかった。
武田香織は社長として、当然資料は必要なかった。
もう一人、個人資料がなかったのは橋本美智だった。
彼女は通常の採用プロセスで入社したわけではなく、履歴書も提出していなかった。香織は彼女の身分証明書や銀行カードなどを求めただけで、入社手続きを済ませていた。
直樹は全員の資料を置き、顔を上げて美智を見た。「あなたの資料は?」
彼女が口を開く前に、彼はまた言った。「まあいいか、受付係なんだし、資料を見る必要もないだろう」
美智はその場で固まった。
彼女は質問に対応する言い訳を準備していたのに、直樹が彼女をスルーしたことで、多くの言葉を省くことができた。
彼女は笑うべきか怒るべきか分からなかった。彼は相変わらず彼女を飾り物扱いしているのだ!
しかし、それも悪くはなかった。
今の彼女は喜んで飾り物になるつもりだった。
直樹はすでに立ち上がり、アシスタントを連れて出て行った。
香織は急いで見送りに行った。
しばらくして、彼女は直樹を見送った後、オフィスに戻ってきた。
彼女は美智を見て尋ねた。「義姉さん、誰かが叔母さんのコンピューターをハッキングしたの?誰だと思う?」
美智は首を振り、平然と言った。「わからないわ。でも、きっといい人よ」
香織はしばらく考えてから、すぐに喜び始めた。「まあいいわ、誰であれ、義姉さんの言う通り、きっといい人よ、とってもいい人!ハハハ、叔母さんのコンピューターがウイルスに感染したなんて、当然の報いだわ!これからは私たちを陥れようなんて思わないでしょうね!」
美智は彼女が子供のように喜んでいるのを見て、軽く笑い始めた。
彼女のコンピューターの勉強は無駄ではなかった。少しは役に立ったようだ。
「義姉さん、これからはパートナーとして一緒にやっていきましょう。もう外に座っていられないわ。少し我慢してもらって、私と一緒にオフィスを共有してください。規模が大きくなったら、大きなオフィスビルを借りて、一人一部屋のオフィスにしましょう!」
美智はそういったことにはあまり執着がなかった。彼女は笑って同意した。
そして香織は彼女の外の荷物を全部中に運び、椅子も一つ追加した。