第241章 彼に惚れた

美智は彼と話したくなかった。

全部彼のせいで、今は橋本家の人全員が彼女を笑い者にして、武田家が彼女を望まなくなったと言って、彼女をとても恥ずかしい思いにさせている。

彼女は視線を戻し、もう彼を見ず、老婦人の腕を支えた。「おばあちゃん、ゆっくり。こんな遅くにどうしてこっちに来たの?おばあちゃんはもうずっと良くなってるのに、心配しすぎないで、自分の体も大事にしてね。」

「直樹が今日は私に付き添うと言ったのに、結局会議が今まで続いて。全部彼のせいよ、そうでなければもっと早く来れたのに。」

武田奥さんは美智に支えられながらリビングに入り、リビングにいる四人を見て、少し驚いた。「この方たちは?」

窪田梅子は緊張して手を服で拭った。「私は奈々子のおばあちゃんです。この三人の娘たちは奈々子の妹たちです。」

武田奥さんは疑わしげに美智を見た。「あなたのおばあちゃん?私はどうして今まで会ったことがないの?」

美智は武田奥さんを他人とは思っていなかったので、直接言った。「はい、以前は付き合いがなかったんです。父が突然彼女に来るように言ったんです、良い考えがあってのことじゃないんですけど。」

「まあ!」

窪田梅子の顔色が一変した。「奈々子や、他人の前でそんなことを言っちゃいけないよ。私はあなたの実のおばあちゃんで、ずっとあなたを可愛がってきたのに、どうして良くない考えがあるなんて?わざわざあなたの妹たちを連れてきてあなたに会いに来たのに、感謝しないならまだしも、悪口を言うなんて!」

彼女は武田直樹を認識し、また美智が「おばあちゃん」と呼ぶのを聞いて、すでに老婦人の身分を推測していた。どうして美智に自分の悪口を言わせるだろうか。

彼女は武田直樹の威圧的な雰囲気を見て、心の底で何故か少し恐れを感じた。

しかし彼女はまだ勇気を出して孫娘を引っ張ってきた。「あなたのいとこがおばあちゃんと呼んでるんだから、早くおばあちゃんと呼びなさい!」

橋本櫻子はずっと武田直樹を見つめていたが、おばあちゃんに前に引っ張られると、すぐに目を伏せて柔らかい声で言った。「おばあちゃん、こんばんは。」