第155章 彼も若奥様に目をつけたのか?

石田香里は顔を赤くしたり青くしたりと怒りに震えていた。彼女は武田直樹に文句を言いたかったが、後ろには直樹が派遣した二人のボディガードがいたため、怒りを抑えるしかなく、ほとんど吐血しそうだった。

青木佳織の顔から優しさが消え、暗い雨の中で彼女の表情は険しくなった。「役立たず?私はそんなんじゃないわ!」

彼女は誘拐された時の自分の弱々しい態度が直樹に悪い印象を与えたことを内心悔やんでいた。

でもあんな状況で、誰が恐怖を感じないだろう?誰が生きたいと思わないだろう?

さらに彼女を怒らせたのは、あの美智が誘拐犯の手から生き延びたことだった!

今日、彼女はわざわざ警察署に状況を確認しに来たのだ。来て良かった。あの忌々しい誘拐犯が、なんと彼女が美智を殺すよう指示したと言っていたのだ!

彼女はすぐに警察にそんな事実はないと否定した。

こんな噂が広まったら、どうやって人前に出られるだろう?直樹は彼女をどう見るだろう?

しかし、今日の直樹は明らかに彼女を迎えに来たわけではなかった。彼は彼女が警察署にいることを事前に知らなかったのだ。彼は明らかに美智を迎えに来ていた!

やはり彼はまだ美智のことを気にかけているのだ!

これはいけない。お腹の子供は直樹の子ではないけれど、直樹は彼女の子供の父親にならなければならない。そして彼女は子供の父親が他の女性と関わることを絶対に許さない!

直樹の女は彼女だけでなければならない!

彼女と武田奥さんの計画は、早く実行しなければならない。美智を排除する必要がある。

——

美智は小島警官に家まで送ってもらい、心から感謝していた。彼女は家に戻ると薬用石鹸を数個と打撲傷の治療薬を一本持ってきて、小島警官に渡した。

彼が運転している時、露出した腕に明らかな傷があった。

美智は、刑事として命がけで人々を救う彼の仕事は危険で、怪我は避けられないと思った。薬を彼に渡すことで、祖母の薬が最大限に役立つと考えたのだ。

彼女が渡した石鹸も筋肉をほぐし血行を促進するもので、入浴時に使えば疲労を取り、体の回復を助ける。

小島警官は彼女からのこれらのプレゼントをとても気に入ったようで、仕事を終えて家に帰った後、写真を撮ってSNSに投稿した。