彼女の率直な謝罪の表現に、武田香織はすぐに好感を抱いた。
「お義姉さん、何を言ってるんですか。私たちは家族なんですから、謝らなくていいんですよ。昨日は確かに私が無謀でした。お義姉さんが私の顔を立てて、ここで働いてくれるなんて、嬉しくて仕方ありません!」
老夫人はまだ彼女の怪我を心配していた。「奈々子、背中を見せてくれないか?怪我は良くなったの?」
「もう大丈夫です、おばあさま。心配しないでください。私には祖母の薬がありますから、今はもう痛くありませんよ」
老夫人は安心できず、無理やり彼女の背中の服を持ち上げて一通り確認した。
彼女の白く柔らかな背中には、薄いピンク色の跡が少し残っているだけで、確かにほぼ回復していた。
傍らで見ていた香織は驚きの声を上げた。「外では義姉さんが半殺しにされたって噂になってるのに、こんなに早く治ったんですね?義姉さん、背中とても綺麗ですね。傷跡が残らなくて良かったです!でも、どんな薬を使ったんですか?すごい効き目ですね!」
美智は少し驚いた。外部の人までも武田奥さんが彼女を殴ったことを知っているのか?
どうやら武田奥さんは結局、家の使用人の口を抑えることができなかったようだ。
彼女は軽くため息をついて、香織に言った。「私の祖母の家に代々伝わる秘伝の薬なんです。後で一瓶差し上げますね。打撲や怪我に効果があるんですよ。致命傷にも効きます。出血をすぐに止めて傷を早く治すんです。もちろん、あなたが使う必要がないことを願っていますけど」
香織はとても喜んだ。「ありがとうございます、義姉さん!義姉さんの祖母が名医だという噂は前から聞いていました。これで名医の薬が手に入るなんて、幸せです!」
老夫人は二人の仲が良さそうなのを見て言った。「奈々子、あなたと香織は年齢も近いから、きっと話が合うでしょう。これからもっと一緒に遊ぶといいわ」
老夫人自らが取り持ってくれたので、美智は警戒心を解き、笑顔を見せた。「はい、おばあさま」
そして、彼女はすぐに香織と仕事の詳細を決めた。
香織の話によると、オークションハウスは普段は仕事が楽で、オークションが開催される時だけ忙しくなるという。
ちょうど今井修平の方も常駐する必要がなかったので、二つの仕事は衝突しなかった。
彼女は新人だったので、香織側の給料はそれほど高くなかった。