第134章 不動産権利証なし

「簡単に言うけど、どんな処方箋でもそんなに高く売れると思ってるの?会社の他の処方箋は、市場にはすでに代替品があって、全然売れないのよ!売れるなら、とっくに売ってるわよ、言われなくても!」

「だったら美智にお金を頼みなさいよ。武田家はあんなにお金持ちで、美智があそこに嫁いでこんなに長い間、きっと相当な恩恵を受けているはずよ!うちの息子の学費はたった五十万円だけなのに、こんな少しのお金も出せないの?恥ずかしすぎるわ、私、生きていけないわ!」

橋本海東も恥ずかしく感じていた。彼はかつて製薬会社の社長だったのだ。以前は「橋本社長」と呼ばれると少し得意になっていたものだが、今では、特に武田直樹に「橋本社長」と呼ばれると、それが皮肉にしか聞こえなかった。

「今日、美智にお金を頼みに行ったじゃないか?彼女はケチで、一銭も出してくれなかった!それに今は武田家とも仲が悪くなってるから、直樹も彼女にお金を渡さないだろう。」

「じゃあどうするの?」

遠藤淳奈は泣きながら言った。「うちの別荘と車は、私が妹の名義に移したおかげで守れたけど、そうしなかったら今頃あなたと一緒に路頭に迷っていたわ。こんなに落ちぶれて、あなたは何の対策も考えないの?私と息子を苦しませるつもり?」

海東は目を見開いて怒った。「ずっと対策を考えてるじゃないか?売れるものはすべて売った。売れないものも美智に内緒で売ったんだぞ。お前が着てるその新しい服だって、つい最近買ったばかりだろう?何万円もしたんだぞ!それでも苦労してるって?」

「たった数万円で、それを惜しむの?」

淳奈は彼が小さすぎると感じ、腹を立てた。「あなた、美智にマンションを一つ買ったんでしょう?今日見に行ったけど、場所がすごくいいわ。一平方メートル四、五万円よ。そのマンションを取り戻して売りなさいよ!しばらくは暮らせるお金になるわ!」

「前から言ってるだろう?美智のマンションは彼女の母親が生前に買ったもので、私が買ったんじゃない!マンションは美智の名義だから、どうやって売るんだ?」

「名義が彼女だからって何?彼女はあなたの娘でしょう、彼女のマンションはあなたのマンションよ。売れると言えば売れるわ!」

「不動産権利証がないんだ!」