「橋本さん、私が言っているのは真実です!間違いありません、私はあなたのお祖母さんを殺す意図なんてありませんでした。彼女は医者で、私を助けてくれたんです。どうして彼女を殺すことができるでしょうか?あの時、頭がどうなってしまったのか分からなくて、感情が突然湧き上がって、抑えられなかったんです。どうか信じてください!」
「あなたには精神病なんてない。自分の感情をコントロールできないというのは、法的制裁から逃れるための言い訳に過ぎないわ」
「いや、橋本さん、今の私が普通に見えるのは薬を飲んでいるからなんです。発作が起きると、誰のことも分からなくなるんです。外部からの刺激で簡単に発作が起きるんですよ。信じられないなら医者に聞いてみてください!」
美智は彼をじっと見つめ、突然、微笑んだ。
彼女は小島警官の方を向いて言った。「警官、この人は本当に故意ではなかったようですね。こうしましょう、私が示談書を出しますから、早めに彼を釈放してください」
全員が驚いて美智を見つめた。
彼女は自分が何を言っているのか分かっているのだろうか?
龍五本人さえも呆然として、一瞬何が起きているのか理解できなかった。
これで許してくれるのか?
彼はまだ本気を出していなかったのに!
雇った弁護士もまだ口を開いていないのに、なぜ突然許してくれたのか?
しかし、彼女のその笑顔には何か不気味なものを感じた。
小島警官は思わず確認した。「橋本さん、本当に示談書を出すんですか?示談書を出して、彼の精神鑑定報告書があれば、我々は最大でも彼を7日間拘留するだけになります」
美智はうなずいた。「それで結構です、7日間で」
そう言うと、彼女は振り返って出て行き、部屋に残された人々は首をかしげるばかりだった。
直樹が後を追った。
美智が車に乗って去ろうとするのを見て、彼は彼女の手首をつかんだ。「美智」
美智は振り返った。「離して」
「なぜ突然龍五を許したんだ?」
「あなたには関係ないわ」
直樹は眉をしかめた。「無茶はするな」
美智は少し驚いた。彼は彼女の計画を知っているのか?
本当に不思議だ。彼はどうして彼女のことをますます理解しているように見えるのだろう。
昨夜は青木佳織を抱いていたくせに。
今日はなぜ彼女のことを気にかけるのか?