美智の顔色が冷たくなった。「何しに来たの?」
橋本海東は不機嫌そうに言った。「今じゃ父さんとも呼ばないのか?何しに来たって何だ、俺はお前の父親だぞ、娘のところに様子を見に来て何が悪い?」
美智は容赦なく言い返した。「歓迎しないわ」
「美智、お前は俺を家に入れないつもりか?」
「なぜあなたを家に入れる必要があるの?」
美智は冷たく言った。「よくもまあ厚かましく来られたわね。こっそり私の家を売り払って、自分で350万円を懐に入れて、私に見つからないように田舎のおばあちゃんの家に逃げ隠れして。あなたのせいで私はもう少しで家を失うところだったのよ!」
彼女は、自分の問いただしが彼を動揺させると思っていた。
しかし予想外にも、海東は堂々と言い放った。「家が破産して、あれだけの借金を抱えていたんだ。お前の家を売って借金を返済して何が悪い?俺はお前の父親だ、お前の家を売る権利はある!」
「これは母さんが私に残してくれたものよ、あなたには売る権利なんてないわ!」
「お前は俺の娘だ、俺に何の権利がないだの言うな。家族なのに、そんなにはっきり分ける必要があるのか?お前のものは俺のものだ!」
「わかってるのか?俺はお前のせいでもう死にそうだった。手に入れた350万円も飛んでしまって、あの夫婦に厚かましくも金を返すはめになった。おまけに殴られたんだぞ!」
「あいつらは俺を脅して、学校に行ってお前の弟を殴ると言ったんだ!もし弟が本当に殴られたら、絶対にお前を許さないからな!全部お前のせいだ!」
美智は悲しくなった。
あの夫婦がそれ以上騒ぎに来なかったのは不思議だったが、橋本宇太を人質に取って、海東に金を返させたのだろう。
やはり悪人は悪人同士でぶつかり合うものだ。
「こんなに責任転嫁する父親は見たことないわ。私があなたのせいでもう少しで家を失うところだったのに、よくも私があなたを害したなんて言えるわね?あなたが悪だくみをしなければ、こんな面倒なことになってないでしょ?借金を返すために家を売るなら、なぜあなたが住んでる豪邸を売らないの?なぜ車を売らないの?」