第263章 一つの情報で一千万

橋本海東は驚いた。「彼女の電話番号をどうして欲しいの?彼女に嫌がらせでもするつもり?」

「まさか、そんなことあるわけないじゃないですか。ただ彼女の連絡先を先に手に入れておけば、いつか役に立つかもしれないと思って。結局、彼女は義兄さんが好きな女性なんですから、私が彼女と良い関係を築けば、良いことはあっても悪いことはないでしょう。いとこの美智みたいに、みんなを敵に回すようなことはしたくないんです。そうでしょう?」

海東は頷いた。「わかった、じゃあ教えてやろう」

櫻子は無事に青木佳織の電話番号を手に入れると、お腹を押さえながら言った。「大叔父さん、お腹の調子が悪いので、ちょっとトイレに行ってきます」

海東は適当に頷いた。ちょうど武田奥さんに電話をかけるところだったので、櫻子がいなくなるのは好都合だった。

彼は櫻子が離れていくのを見届けると、自分も階下に降り、人気のない角を見つけて武田奥さんに電話をかけた。

「橋本海東、何の用?まさか五百万円を返しに来たというわけではないでしょうね?」

「そんなはずありませんよ。あなたがたった今くれたお金ですよ、まだ温かいうちに返すなんてもったいない。このお金で商売をするつもりなんです。お電話したのは、重要な情報をお伝えしたいからです」

「どんな重要な情報?」

「それが、この情報は非常に重要なものでして、もし千万円くださるなら、お教えしますが、いかがでしょう?」

武田奥さんはすぐに不機嫌になり、声も鋭くなった。「橋本海東、あなた私を恐喝するつもり?一つの情報で千万円も要求するなんて、私があなたに優しくしすぎたせいで、自分が何様なのか分からなくなったのかしら?」

「まあまあ、そう怒らないでください。この情報は本当に重要なんです。武田家の将来に関わることですよ。正直に言うと、千万円でも安いくらいだと思っています!」

武田奥さんは聞けば聞くほど腹が立ったが、同時に、どんな情報なのか気になり始めた。橋本海東がそこまで自信を持って千万円を要求するとは。

「橋本海東、もう駆け引きはやめなさい。知っていることを素直に教えなさい。情報が本当に価値あるものなら、あなたを損させたりしないわ。すでに五百万円もあげたでしょう?それだけでも私がどれだけ気前がいいか証明できるはずよ」

海東はそれを聞いて口をゆがめた。