第61章 私のこと好きじゃないの?

島村少臣の顔色が微かに変わり、眉を少し上げて、陸田子墨と長い間見つめ合った。「子墨様、実に時宜を得た到着ですね」

影で見張り役を担当していた島井凛音は腕を組み、ツンデレ気味に顎を上げた。

ふん、自分がいるのだから、タイミングが良くないわけがない。

この瞬間、最も衝撃を受けていたのは陸田花子だった。

生きている間に、氷山のように冷たい二番目の兄が女性を抱きしめているのを目の当たりにするとは。しかもその女性は元義姉だった。この感覚は言葉では表現できない...

ちょっと待て、二番目の兄が心変わりしたなら、彼に口紅を贈ったあの子は知っているのだろうか?

「子墨、説明してくれないか?」プールサイドで島井に殴られたばかりの利田御が正気に戻り、好奇心いっぱいの表情で鈴木瑠璃を見たり、陸田子墨を見たりした。

誰でも知っていることだが、瑠璃は陸田謹言の元妻ではないか?

父親は同じだが母親の異なる兄弟が、同じ女性と関わりを持つなんて...面白い!

陸田子墨:「これは私の問題だ」

利田は親しくなろうとしていたが、この御仁はやはり面子を立ててくれない。何か言おうとしたとき、目の前の子墨社長はすでに瑠璃の手を引いて立ち去っていた。

楚田汐は陸田謹言を見上げ、陸田家の将来の家長夫人のような口調で心配そうに言った。「謹言、私の印象では、子墨は衝動的な人ではないわ。もしかして瑠璃が離婚する前から...」

「そんなことはない」謹言はきっぱりと否定したが、心の中は混乱していた。

以前は瑠璃が自分をどれほど愛していたか明確に分かっていたが、今は確信が持てなくなっていた...

馬場の休憩室内。

瑠璃は痛めつけられた手首をさすりながら、壁に寄りかかり、色っぽい目で笑いながら言った。「子墨社長、こんなに早く私の手の内に落ちるなんて?」

子墨は彼女に一歩近づき、手を無造作に彼女の背後の壁に置き、目の前の柔らかな女の子を見つめ、目に笑みを浮かべながらも一言も発しなかった。

狭い空間で、男女二人きり、空気はだんだんと熱く不安定になっていった...

瑠璃は手を上げ、布地の下の感触をもう一度確かめようとしたが、手首を捕まれてしまった。

しばらくして、子墨はようやく声を出した。声はやや厳しくなっていた。「触らないで」