【ヒロイン溺愛+小説転生+スカッと逆転劇】
鈴木瑠璃は、強引な社長に翻弄されるヒロインが登場する小説世界に転生してしまった。しかも、自分がその悲劇のヒロイン・瑠璃その人だというのだ。
原作では、偽りの白蓮花を演じる悪女に陥れられ、声を奪われ、家は没落。全てを失っても、男主人公の冷たい心は微動だにしなかった。
しかし転生後の瑠璃はこう宣言する。
「美貌と財力があるなら、セレブ女子として華やかに生きる方がずっと素敵じゃない?」
──離婚から半年。
瑠璃と別れた社長・陸田謹言は、元妻が日に日に輝きを増していく姿に苛まれていた。
頬は薔薇色に染まり、妖艶な魅力が増し、彼女の周りには次々と男性が集まってくる。
・バーでは異母弟が瑠璃を壁に押し込む場面を目撃し、
・商談の席では取引先の大物が彼女の熱烈なファンだと知り、
・心の安らぎを求めて訪れた庭園では、冷徹な幼馴染がゴルフを教えているのを見かける。
「くそっ…もう家に引きこもっていてもいいだろう!」
さらにテレビでは人気歌手が熱く語りかける。
「この曲は瑠璃さんへ──あなただけのために作りました」
──騒動の渦中、謹言はついに悟る。
「瑠璃…俺の妻、戻ってきてくれ!お願いだあああ!!(涙)」
しかし瑠璃は涼やかに振り返り、今や"悪役"と称される男の腕に優しく手を回しながら微笑む。
「誰があなたの妻?私はこの人と行くわ~」
瑠璃の傍らで、男は額に手を当て、氷のように透き通った指を軽く動かす。
「…恋人があまりにも人気者で困るのだが?」
──あなたは光そのもので、
私の瞳に映った瞬間、世界から全ての闇が消え去った。