ストーリー展開によれば、このファイルはいずれ主人公に見られるはずだ。
鈴木瑠璃はマウスを動かし、右クリックして、容赦なく楚田汐のパソコンから削除した。
朝食を食べ終えると、瑠璃は島井凛音の頭を撫でた。「お姉ちゃん行くね〜仕事に行ってくるよ!」
凛音は口の中に小さなカスタードまんを詰め込み、むせながら大きく水を一口飲んだ。「うん、お姉ちゃん行ってらっしゃい!」
瑠璃が出かけた後、広い別荘には彼一人だけが残された。
凛音は上の階から下の階まで掃除をしながら、機嫌よく歌を口ずさんでいた。お姉ちゃんが今日彼の頭を撫でてくれたのだ!それも何度も!
ゴミ箱の袋を片付けようとしたとき、キラキラと光るものが彼の注意を引いた。
「これは何だろう?」
ゴミ箱はとても清潔だったので、彼は直接手で取り上げた。
見たところ高価そうなネックレスだ。きっとお姉ちゃんのものだろう!こんなに綺麗なのになぜ捨てたのだろう?
凛音はネットで調べてみると、ウェブページに表示された価格を見て、驚きのあまり気絶しそうになった。
8桁の値段がつけられたネックレス……世界に一つだけの「心の海の翼」!
海辺の別荘一軒分がゴミ箱に捨てられているなんて、お姉ちゃんの考えは本当に読みにくい。
凛音は恐る恐るそのネックレスを見つめ、箱を見つけて慎重に収納し、書斎の引き出しにしまった。
…
木村勝本社。
企画書を木村佑のデスクに置き、瑠璃が立ち去ろうとしたとき、彼女の手首が男性に掴まれた。
瑠璃は驚いて振り返った。「木村社長?」
自分の行動が少し行き過ぎていると気づいたのか、佑は紳士的に手を離し、笑いながら尋ねた。「今夜8時に、ある女優の誕生日パーティーがあるんだ。もし時間があれば、僕のパートナーとして来てくれないか?」
瑠璃はしばらく反応できなかった。木村佑のような地位の人が、女優の誕生日パーティーに顔を出すなんて?
佑は名前を言った、藤原微だ。
瑠璃は理解した。
藤原微は若くして芸能界に入り、成功した後にビジネス界の大物と交流し、自分で会社を設立して株で富豪になった。表向きは女優で、たまに演技を楽しむ程度だが、実際は頭の切れる女性実業家で、業界の有力者たちはほとんど招待を受けていた。