「わぁ……」
「うわっ、すごく綺麗!」
「彼女は新しい先生?優しくて可愛い!」
鈴木瑠璃は周りを見回して、自分の目が間違っていることに気づいた。
下には青と白の制服を着た高校三年生がきちんと並んで座っていたが、どれが小山星河だろう?
講堂の前列に座っている幹部と教師たちは皆、彼女に驚嘆の眼差しを向けていた。
一番端に座っていた女性教師が立ち上がり、小走りで近づいて、小声で尋ねた。「あの、どちらさまで……」
「こんにちは、小山星河の姉です」
女性教師は一瞬固まった後、急いで彼女を招き入れた。「どうぞお座りください!星河はあそこです!」
瑠璃は彼女の指す方向を見て、思わず汗をかいた。
あれま、星河が彼女にこんなに近いなんて、まさに目の前じゃないか!
考えてみれば当然だ。全校一位でスピーチをする生徒だから、特別待遇を受けているのだろう。
教師陣と学校幹部の中で、少年はきれいな制服を着て最前列に座り、整った顔立ちで天才的な容姿を誇り、彼女をじっくりと上から下まで眺めていた。
彼女が来るとは思っていなかったようだ。しかも彼の保護者を装って。
星河は口角を上げ、彼女が花の蝶のように自分に近づいてくるのを見て、機嫌が良くなり、わざわざ彼女のために椅子をずらした。
講堂内では、この美女の正体を推測していた生徒たちが驚愕した。
この美女は……星河の保護者?
やはり同じ家の人間は似るものだ。この美貌なら間違いなく芸能人になれるじゃないか!
「さっき誰が河さんは可哀想だって言ったんだ?出てこい!」
「この姉さん、見るからに優しくて愛情深そうじゃん。河さんも彼女を見て笑ったよ!今まで彼が笑うのを見たことないのに!」
「すごく温かい!小山星河にこんな愛情深い姉がいるなんて羨ましい!」
瑠璃が来てから、星河くんの全校生徒と教師の間での印象は、「両親の離婚で深刻な愛情不足の可哀想な子」から「誰もが羨む、優しい姉に甘やかされている傲慢な坊ちゃん」へと変わっていた。
「今回もまた全校一位なの?何点取ったの?」瑠璃は気にかけて尋ねた。
星河は無関心そうに答えた。「まあ722点くらいかな」
まあ……?
瑠璃はほとんど息が詰まりそうになった。
彼女は前世の高校受験で人生最高の701点を取り、県内で3位だったのに。