フード付きの青年は見た目が若く、少しクールな感じだったので、三人の女子は緊張が解けた。
于田早苗は勇気を出して彼に話しかけた。「携帯とか現金は持ってないの?あなたのお金は使えないかもしれないよ。」
フード付きの青年は黙ったままで、空気は再び沈黙に包まれた。
早苗は一瞬気まずくなった……
「皆さんは宿泊されるのですか?」
いつの間にか、階段の角に黒い長衣を着た背の低い太った男性が現れていた。ホテルの受付係のような内部スタッフのようだ。
太った男性は優しい笑顔を浮かべていて、外の奇妙な表情の切符売りと比べると、彼の顔には人間らしさがあった。
彼が手に持っている古びたそろばんを見て、利田均は目を丸くした。
ここは一体どこなんだ?
フード付きの青年はカウンターの前に立ち、「部屋はまだありますか?」と尋ねた。
太った店主は黄ばんだ帳簿を取り出し、丁寧にめくって、「まだ四部屋残っています。二階の左側の列です。」
「一部屋ください。」
フード付きの青年は袖から蒼白く細い指二本を伸ばし、カウンターの上の銅銭を前に押した。
高校生たちは店主の反応を密かに観察していたが、驚いたことに彼は何も言わず、平然と銅銭を受け取った。
まるでこの世界がそうあるべきで、場違いなのは彼らの方だった。
「ちょっと待って、僕たちも銅銭で支払わないといけないの?」と一人の男子が我慢できずに尋ねた。
店主は小さな目を動かし、すぐに軽蔑的な目つきになった。「金を出したくないなら、外で雨に濡れていろ!」
「違うんです、店主さん、誤解です!」
早苗が説明しようとしたとき、フード付きの青年が手を振ると、ガラガラと小山のような銅銭が店主の前に積み上げられた。
利田均は目を輝かせた。「兄貴、これ俺たちの分も払ってくれたの?」
フード付きの青年は相変わらず無視していた。
小山星河は素直に相手の好意を受け入れた。「ありがとう。みんな割り振ろう。三部屋で、少し詰め合わせて我慢しよう。」
残りの六人はお互いを見合わせ、それぞれのパートナーを見つけた。
女子二人で一部屋、男子二人で一部屋、均と星河で一部屋。
残りの一人の女子は困った表情で、どうしたらいいか分からずにそこに立っていた。
均は自ら提案した。「君は一人で一部屋使えば?俺は豪たちと詰め合わせるよ。河さんは……」