他の人たちは特に意見もなく、一緒にそちらへ向かって歩いていった。
乗船場所に着くと、スタッフがどこかに行ってしまったらしく、ゲートはしっかりと閉まっていて、青い空の船が水面で揺れていた。
「誰かいませんか?船を出してくれる人は?」利田均は声を張り上げた。
小山星河は直接操縦室に飛び込み、どこかのボタンを押したのか、ゲートがゆっくりと開き始め、水流が一瞬で速くなった。
「早く乗れ」星河が最初に踏み込んだ。
「何か事故が起きないよね?」均はつばを飲み込んだ。
星河は船尾に座り、スニーカーを手すりに乗せ、手を膝に置いて水底を見ていた。「水深1メートルだ。溺れはしない」
洞窟に入ると、轟音とともに白い水煙が噴き出した。
均はある場所を指さした。「見てみろよ!」
洞窟内は彼らが想像していたよりもはるかに広かった。
高さ6メートルもある女媧のカラフルな彫像、巨大な斧を振りかざす盤古、火の神・祝融、水の神・共工...どれも生き生きとしていた。
みんな多かれ少なかれ巨大物恐怖症を持っていて、動く巨石像を見ると、心が震えずにはいられなかった。
山河を呑み込むような盤古の前を通り過ぎる時、黒い巨大な斧が振り下ろされてきた。
女の子の一人が悲鳴を上げ、星河の胸に飛び込もうとした。
星河は素早く立ち上がり、船尾を踏んでその女の子を避けた。船体が激しく揺れる中、ショベルカーほどの大きさの盤古の斧が振り下ろされてきた。
「くそっ!」星河は罵り、素早く身を伏せた。
あの斧に当たって水中に叩き込まれるところだった!
「河さん、女の子にそんな態度とるなんてどうなの?」均は泣きそうなほど傷ついた女の子をちらりと見た。
人生は不公平だ!なぜ誰も自分の胸に飛び込んでこないんだ?
「男女は礼を正しくするものだ、わかるか」一筋の黒髪が目の前に垂れ、星河は手すりを掴みながら顔を上げ、周囲を見回した。
さっき、あの黒いフードの男を見たような気がした。
洞窟を出ると、明らかに光が暗くなっていた。
空からごろごろと雨が降り始め、しとしとと地面を叩いていた。山の天気は変わりやすく、明日の日の出は見られそうにない。
雨はしばらく止みそうになく、近くにちょうどホテルがあったので、みんなで一晩そこに泊まることにした。
ホテルに入ると、内部の雰囲気は非常に重苦しかった。