第82章 フード付きの青年

七人は前方の崖を見た。

古びた黄木色の手すりに、黒いフード付きの長いローブを着た青年が座っていた。

彼は足を宙に浮かせ、痩せて青白い指で手すりを掴み、フードの下の目は彼らの方向を見つめていた。まるで若い死神のようだった。

小山星河はその人物をしばらく見つめていた。フードの下の顔は見えなかったが、相手が自分を知っているような気がした。

「河さん、見ないでください。気味が悪いです!」キャップ帽をかぶった男性が腕の鳥肌を必死にこすった。

「どこが気味悪いんだ?」星河は彼を一瞥した。

キャップ帽の男性は声を低くして言った。「あの人、何も持ってないし、じっと動かずに座ってるでしょ。観光客には見えないよ」

女性の一人が何かを見たようで、顔色が変わった。「い...いない!」

上の手すりには、もうあの男の姿はなかった。

男性もびっくりして、「うわっ、幽霊だ!」

星河は視線を戻し、その男を蹴った。「そんなに臆病で、男か?富強民主法治和諧って知ってるか?」

男性はにやにや笑って、「河さん、冗談で彼女たちを怖がらせただけですよ!」

石段をしばらく歩いたが、さっき見かけたあの男以外に観光客は一人もいなかった。

静かな渓谷の中で、七人の足音と呼吸音が急に鮮明になった。

チケット売り場に着くと、星河は財布から数枚の紙幣を取り出し、キャップ帽の男性に手渡した。「切符を買ってこい」

利田均という名の男性は、星河が差し出したお金を受け取らなかった。「河さん、そんな面倒なことしなくても、スマホ決済の方が便利ですよ!」

均はチケットを買いに行ったが、30秒もしないうちに青ざめた顔で戻ってきて、他の二人の男性の腕を引っ張りながら急かした。「行こう行こう、早く!」

「どうした?」と星河。

均は幽霊でも見たかのような表情で、両手を振りながら説明した。「河さん、あの切符売りの人、怖すぎます。マジで、もう少しで死ぬところでした!」

三人の女性はみな臆病で、均の簡単な説明を聞いただけで怖がり始めた。

星河はそんな迷信を信じず、鋭い目で一瞥した。「お前は度胸がないな。真昼間に幽霊なんかいるわけないだろ?」

「河さん!河さん!行かないで!本当に怖いんです—」

均は汗だくになって必死に止めようとしたが、星河を説得できず、仕方なく後をついて行った。