陸田花子は高い場所に飛び乗り、手を叩いた。「ゲームを始めましょう!勝てば神秘的な大賞を抽選で当てるチャンスがありますよ〜」
鈴木瑠璃は遠くから見ていた。どうやら花子は前回のトラウマを完全に乗り越え、状態も悪くないようだ。
下では若旦那や令嬢たちが盛り上がっていた。
「いいね、いいね!」
「でも、どうやって競うの?乗馬だけじゃちょっと面白くないでしょ!」
花子が手招きすると、リゾート山荘のスタッフが箱を持って近づいてきた。
開けてみると、中には競技用の拳銃と弾丸が入っていた。
「射撃場で競争しましょう。ただし、馬に乗ったまま射撃することが条件です!一人五発の弾丸だけ、二発外したら即失格、的に当たって初めて得点になります!」
言葉が終わるや否や、下からは興奮した騒めきが起こった。
ゲームのルールは簡単そうに聞こえるが、実行するのは難しい。射撃の技術が良いだけでなく、馬の協力も必要で、少しでも注意を怠れば外してしまう。
「楚田汐さん、できますか?」パーティーを通して、何人かの令嬢たちは楚田汐が陸田謹言にとって最も大切な女性だと見抜き、次々と顔なじみになろうと近づいてきた。
汐は落ち着いた笑顔を浮かべていた。「以前、海外で勉強していた時に、特別に二年間射撃を習っていました。」
「じゃあ問題ないわね!」
「楚田さんって本当に隠れた才能をお持ちなのね……」
先ほど赤い乗馬服を着ていた令嬢が突然瑠璃の方を見た。「鈴木瑠璃さん、みんな参加するわよ。今回はまた浮いた存在にならないでね!」
丁野遥は内心焦っていた。「瑠璃ちゃんは銃を触ったことないから、皆さんだけで楽しんでください。」
「丁野さん、鈴木さん本人は何も言ってないわよ。ただのゲームよ、外しても恥ずかしいことなんてないわ!」汐の隣にいた女の子が嘲笑うように笑い声を上げた。
「できないなら、教えてあげるわよ!」
一人が箱から拳銃を取り出し、数発の弾丸を込め、わざとスローモーションで瑠璃に見せた。「こうやって弾を込めて、こうやって装填して、ここが引き金……とても簡単に使えるわよ!」
その丁寧な口調は、まるで瑠璃がお嬢様ではなく、世間知らずの田舎者であるかのようだった。
汐を含む他の女性たちは傍らで見ていて、時折意味深な笑みを浮かべていた。