第143章 最初から計画してたでしょ木村萌!

木村佑はドアノブを握って閉めようとしたが、一瞬止まり、苦笑いを浮かべた。「遊びに行きたいんじゃなかったの?」

鈴木瑠璃はゆっくりと目を見開いた。「つまり、あなたは……」

佑は妥協した。「一晩の時間がある。好きなように遊んでいいよ」

佑の変化に驚いた瑠璃は拍手し、心からの長い褒め言葉を並べた。「木村社長、さすがは英明神武で慧眼の持ち主、超イケメンです!」

佑はその「超イケメン」という言葉の意味がよく分からなかったが、彼女が自分を褒めていることは感じ取れ、気分が少し良くなった。「じゃあ、結婚したい?」

瑠璃は言葉に詰まった。「……し、社長……」

彼女を怖がらせないように、佑は軽くため息をつき、話題を変えた。「ドアの前で待ってるよ」

ドアが閉まった瞬間、瑠璃の顔から純情な少女の表情が消え、自分の頬をこすりながら後ろに倒れ込み、天井のクリスタルシャンデリアを見つめた。

日常的な結婚恐怖症、うぅ。

可愛いワンピースに着替えて出ていくと、瑠璃は廊下に立つ男性を見て、思わず二度見した。

ビジネスの場での隙のないスーツを脱ぎ捨て、佑は白いTシャツに薄い青のストライプ半袖シャツを羽織り、下は流行りの薄いデニムを履いていた。

ついでにシャワーを浴びたようで、普段は一糸乱れず後ろに撫でつけていた髪が、今はさわやかに垂れ下がり、髪の毛の弧がわずかに曲がって、真ん中に白い額が少し見えていた。

大学キャンパスのイケメン先輩よりもおしゃれじゃない!

これが彼女の知っている木村佑なのだろうか!

瑠璃は一度自分が人違いをしているのではないかと疑い、ドアの前で3秒間立ち止まり、躊躇いながら彼に近づいた。

「何を考えてるの?」佑は優しく彼女を見た。

瑠璃は言いかけては止め、「木村社長……実は……こんなに若かったんですね……」

佑は「……」

瑠璃は今日も少女系のワンピースを着て、カールした大きなウェーブヘアをピンクのリボンで一つに結び、薄いリップクリームだけを塗り、完全に青春溢れる少女に見えた。

二人が向かい合って立つと、まるで早熟な恋愛をしているカップルのようで、イタリアでビジネスの話をしに来たようには全く見えなかった。

華人経営の日本食レストランに座り、瑠璃はまだ佑が突然イケメン青年に変身したという衝撃から抜け出せず、我に返っていなかった。