「飛び上がるほど嬉しいわ」鈴木瑠璃は冷静に彼と視線を合わせた。
「そんなに強がるの?」小山星河は首を傾げて無言で笑い、彼女の顎を撫でていた手をゆっくりと下に移動させ、自然に彼女の肩を押さえながら、軽薄で曖昧な口調で言った。「それなら、みんなを呼んできて、もっと楽しませてあげようか?」
瑠璃は信じられないという表情で目を見開いた。「小山星河、どうしてこんなに意地悪になったの」
「俺はずっとこうだよ、今更気づいたの?」少年は睫毛を垂れ、漆黒の瞳に細かな笑みを浮かべていた。
瑠璃が彼を通り過ぎて劇場へ向かおうとすると、少年は怠惰に腕を伸ばして彼女の肩を引っ掛け、手のひらで彼女の頭を抑え、強引に自分の胸元へ引き寄せた。
星河は背が高く、最近さらに伸びていた。
彼女は女子の中では背が高い方だったが、彼の前ではやはり一回り小さかった。
「せっかく捕まえたんだから、逃がさないよ」星河は優しい口調だったが、その行動は乱暴で、半ば引きずるようにして彼女を暗い劇場内へ連れ込んだ。
舞台上では、『ノートルダム大聖堂』の有名な場面が演じられていた。
赤いドレスを着たエスメラルダが楽しげに踊り、暗がりに隠れたノートルダム大聖堂の副教主クロードが少女の美しい体に執着していた。
星河は自分がまるで偽善的で残忍なクロードのようだと感じていた。長い間抑圧してきた感情が彼を狂わせそうになり、姉のすべてに激しく執着していた。
突然照明が一段階暗くなり、瑠璃は足を踏み外して階段に膝をつきそうになったが、力強い手が彼女の腰をしっかりと支えた。
少年のぼんやりとした大きな影が身を屈めてきて、薄い唇が彼女の耳に触れ、かすれた声で尋ねた。「なんでそんなに弱いの?足がすくんだ?」
瑠璃は腹を立て、彼の引き締まった腕をつねった。「あなたこそ足がすくんでるんでしょ!」
星河は低く沈んだ声で笑った。「もしかして顔を赤らめてる?」
瑠璃は「あなたこそ赤らめてるわ!」と返した。
星河は「なんでそんなに可愛いんだ」と言った。
瑠璃は「あなたこそ可愛いわ!」
まずい、まずい……彼女はもう全く考えることができなくなっていた。
千人以上を収容する大劇場から熱烈な拍手が沸き起こった。
瑠璃はびっくりして、ようやくこの場所が人で埋め尽くされていることに気づいた。