職員が二人を面会室へと案内した。
道中、鈴木涼音は心配でたまらない様子で、父親の食事や服装が大丈夫かと心配したり、また白髪が増えていないかと気にしたりしていた……
しかし、鈴木敬を目にした瞬間、姉妹二人は呆然とした。
老紳士は非常に健康そうで、顔色も良く、話し声にも力があり、入所前よりもずっと状態が良さそうだった。
会うなり、敬は口を開いた。「瑠璃や!お前が持ってきてくれた武侠小説の続きはないのか?」
瑠璃は首をかしげた。「え?何の小説?」
敬は不満げに眉をひそめて彼女を睨んだ。「この娘め!前回来た時に武侠小説を一冊持ってきて、この老いぼれに時間つぶしをさせたのに、もう忘れたのか?」
その本はすでに何度も読み返していて、続きの展開が待ち遠しかったのだ!
この娘も本当に、全巻持ってこないとは!人をやきもきさせて!
隣で涼音はまだ呆然としていた。「お父さん、中ではどう?大丈夫?」
「父上は至って健やかじゃ!わが子よ、心配するでない!」敬はにこにこと答えた。
姉妹二人:「……」
父上って何よ!
このままだと、この老人は何か世紀の神功を身につけてしまうのではないか?
面会を終えて外に出ると、涼音は長く息を吐き、心が軽くなった様子だった。
「瑠璃、急に生きる希望が湧いてきたわ。乗り越えられない壁なんてないわよね?」
「そう思ってくれたら安心だわ!一緒にネイルでもしに行く?」瑠璃が提案した。
「いいわね!」
近くの美容店に着くと、涼音は突然彼女の手を引っ張った。「別のお店にしましょう!」
「どうしたの?」瑠璃は不思議そうだった。
ちょうどその時、美容店のガラスドアが開き、楚田汐が陸田謹言に付き添われて、華やかな姿で出てきた。
今さら立ち去るには遅すぎ、四人はそのまま鉢合わせてしまった。
父親を刑務所に入れたのは謹言のせいだったので、涼音は血の海ほど深い恨みを持つ敵を見るような目で彼を見つめていた。
涼音が口を開いて罵る前に、汐は突然瑠璃を見つけると、何かを恐れるように素早く謹言の腕を引っ張って車に乗り込み、風のように街角から姿を消した。
涼音は後ろに立ち、冷ややかに皮肉った。「何を逃げてるの?自分が人に見られたくない小三だって分かってるんでしょ?」
瑠璃はバッグを持ち、何気なく別の方向を見ていた。